2024年9月1日日曜日

データベース「氷河の世界」の閲覧状況

データベース「氷河の世界」の閲覧状況

1)はじめに
 これまでに発表してきた報告や写真などを終活の一環としてまとめたデータベース「氷河の世界」(資料)の最近の1年間(2023年8月~2024年7月)の閲覧状況を報告します。
資料
ぼくのデータベース「氷河の世界」
https://glacierworld.net/home/my-database/

2)2023年8月と2024年7月の国別閲覧状況
A)2023年8月の国別閲覧状況
 
図1 2023年8月の閲覧状況(ページビュウ数)の国別順位
 2023年8月のページビュウ数(Webページを閲覧した回数)の10位以内の国別順位は、日本→アメリカ→ドイツ→フランス→シンガポール→インド→フィンランド→ブラジル→オランダ→イギリス(図1)でした。1位の日本が全体に占めるページビュウ数の割合は38%、2位のアメリカg18.1%、3位のドイツは4.4%で、それ以下はフランス3.6%、シンガポール2.8%、インド2.6%、フィンランド2.4%、ブラジル2%、オランダ1.7%、イギリス1.5%でした。
B)2024年7月の国別閲覧状況
 
図2 2024年7月の閲覧状況(ページビュウ数)の国別順位
 2024年7月のページビュウ数の10位以内の国別順位は、中国→アメリカ→日本→ドイツ→シンガポール→ベトナム→インド→イラン→ノルウェー→フランス(図2)です。1位の中国が全体に占めるページビュウ数の割合は26%、2位のアメリカg16.5%、3位の日本は15.1%で、それ以下はドイツ12.5%、シンガポール8.5%、ベトナム3.2%、インド2.5%、イラン2.1%、ノルウェ1.8%、フランス1.7%でした。

3)2023年8月~2024年7月のページビュウ数の国別アクセス推移
 2023年8月~2024年7月の各月のページビュウ数と国別閲覧順位は以下の通りでした。
(2023年)
8月(ページビュウ数8739)
日本→アメリカ→ドイツ→フランス→シンガポール→インド→フィンランド→ブラジル→オランダ→イギリス
9月(ページビュウ数7935)
日本→オランダ→アメリカ→インドネシア→シンガポール→インド→ドイツ→中国→カナダ→ベトナム
10月(ページビュウ数6990)
日本→アメリカ→ネパール→フランス→ドイツ→インド→オランダ→シンガポール→ロシア→カナダ
11月(ページビュウ数7721)
日本→アメリカ→インド→ブルガリア→中国→カナダ→フランス→ドイツ→イギリス→シンガポール
12月(ページビュウ数19444)
アメリカ→ドイツ→ロシア→日本→シンガポール→インド→フランス→イギリス→中国→イラン
(2024年)
1月(ページビュウ数6107)
アメリカ→日本→カンボジア→中国→ドイツ→ベトナム→インド→フランス→ルーマニア→シンガポール
2月(ページビュウ数9632)
中国→アメリカ→日本→シンガポール→オランダ→ドイツ→オーストリア→インド→ブルガリア→カナダ
3月(ページビュウ数15093)
中国→日本→アメリカ→シンガポール→ドイツ→インド→カンボジア→オーストラリア→ロシア→オランダ
4月(ページビュウ数15501)
中国→日本→アメリカ→シンガポール→インド→ドイツ→オランダ→ロシア→フィンランド→フランス
5月(ページビュウ数9073)
中国→日本→アメリカ→シンガポール→ドイツ→イギリス→タイ→フランス→フィンランド→イラン
6月(ページビュウ数14033)
日本→アメリカ→シンガポール→中国→ドイツ→ブルガリア→フランス→インド→インドネシア→オランダ
7月、(ページビュウ数13669)
中国→アメリカ→日本→ドイツ→シンガポール→ベトナム→インド→イラン→ノルウェー→フランス

4)ページビュウ数の国別アクセス推移の特徴
 各月のページビュー数は6千回から2万回にわたりますが、月平均は約11200回です(図3)。

図3 ページビュウ数の月別変化
 2023年8月~2024年7月の1年間を通じてページビュウ数の上位を占めているのは日本とアメリカで、日本は2023年8月~11月が1位で、アメリカは2024年6月に1位になり、他の期間はそれぞれ2位~4位になっています。一方、中国は2023年11月に5位、12月に9位になってからアクセス数が急激に増加し、2024年2月~5月と7月に1位になりました(図4)。

図4 日本・アメリカ・中国・シンガポール各国の2023年8月~2024年7月の各月のページビュウ数順位
 日本・アメリカ・中国以外で特徴的なのはシンガポールで、2023年8月と9月が5位、10月に8位、11月は10位、12月に5位、2024年1月は10位、2月~5月が4位、6月は3位で、7月は5位になり、期間を通じて上位入りしています(図4)。その他のアジアの国では、インド・ベトナム・インドネシアなどが上位に入る月があり、2023年10月にはネパールが3位にもなったように、多くのアジアの国々が閲覧してくれているは大変励みになります。ヨーロッパの国で上位に入るのが多く見られるのは、ドイツ・フランス・オランダ・ロシア・カナダなどです。

5)むすび
 ページビュウ数の国別アクセス推移の特徴をみると、中国・日本・アメリカが上位を占め、それらの国にシンガポールが続いています。また、2024年7月の結果では、中国がトップ、2位のアメリカ、日本は3位、4位のドイツ以下は5位のシンガポール、6位のベトナム、7位のインド、8位のイランなどのアジア各国が上位を占めました。
 2024年になり、中国が上位を占めるようになると、ブログの閲覧者総数が7万人を超え、月ごとの閲覧者数の増加人数が2023年の268人/月から2024年には496人/月と約2倍になっています(図5;記1参照)。

図5 2023年8月~2024年7月のブログの閲覧者数の変化
 各国からの閲覧状況の記録は2020年からあり、その当初の2020年1月と2月のページビュウ数順位が下記2に示されているように、アメリカは両月とも1位、シンガポールは1月が2位、2月が3位でした。日本は1月が6位、2月は8位と閲覧者の割合が低くかったのに対し、人口が600万人ほどで、その4割が外国籍といわれるシンガポールが2020年当初から一貫して上位を占めているのは、前章でも述べましたように、特筆に値すると思います。スイスの研究機関が主要67カ国・地域を対象に分析した「世界競争力ランキング2024年版」によると、日本の順位は前年から三つ下がり38位と過去最低なのに、シンガポールがベスト3に入っています(記3)。この閲覧状況の結果は小国ながらも「実力を秘めたシンガポール」の一端を示しているようです。
 このデータベースは、ほぼ半世紀にわたり、「氷河の世界」で、何を見て、何を考えてきたかを示す、言うなれば、ぼくのフィールドワークの履歴書です。そろそろ三途の川を渡りはじめている我が身ですが、できるならば、ページビュー数が今回報告したように月平均で約1万回の閲覧状況が今後とも継続するとともに、このデータベースはヒマラヤからの視点に重きをおいていますので、世界の閲覧者の中では上位に常連のシンガポールや時々上位を占めるネパールをはじめとしたアジアの国々の方々に閲覧していただけることを期待しているところです。
記1
氷河へのお誘い
https://hyougaosasoi.blogspot.com/
記2
2020年1月
アメリカ→シンガポール→フランス→ドイツ→イギリス→カナダ→日本→アイルランド→オランダ→インド
2020年2月
アメリカ→ドイツ→シンガポール→フランス→インド→ベトナム→イギリス→日本→カナダ→インドネシア
記3
余録
毎日新聞 2024/8/26 東京朝刊 615文字
https://mainichi.jp/articles/20240826/ddm/001/070/104000c

6)謝意
 1960年代以降、半世紀以上にわたってヒマラヤなどの氷河の世界でフィールドワークをした時に得られた自分にしか分からない写真などのデータはのうち幾分かは自分以外の方々にも役立つかもしれないことをひそかに期待して、データベース「氷河の世界」を友人の干場悟さんにお願いし、整備していただきました。干場悟さんには大いなる感謝の意をささげます。
 ネパールで1970年以来お世話になっているハクパ・ギャルブさんはこのデータベース「氷河の世界」のギャラリー(写真集)をネパールに人たちに紹介してくれています(下記写真)。ネパールがページビュウ数の国別アクセスで時々上位を占めるのは彼のお陰のようです。このデータベースをネパールの方々が見てくれていて、少しでも役立っているようですので、広報してくれているハクパ・ギャルブさんにも感謝します。

Lhakpa Gyalu Sherpaさんが半世紀ほど前の下記の写真(注)をネパールの方々に紹介してくれています。

データベース「氷河の世界」のギャラリー1970Nepal_024の14枚の写真中の13番目
gallery
https://glacierworld.net/gallery/Nepal_A/1970Nepal/1970Nepal_024/index.html#C01B10S02_13.jpg

写真 1970年のクンデ村の子供たち
 1970 on the way back from Khumjung School, 50 years before! Photo of Professor: Hiroji Fushimi who was Scientific Research Team member of 1970 Japanese Ski Expedition and later he resided in Khunde to do field survey and research of Gyajo Glacier.
Lhakpa Gyalu Sherpa
コメント10件 シェア5件
Ang Temba Sherpa
 Good to see old photo . It looks at that time they have shoes 👞 . I don’t have shoes in 1970 . Today, we all with shoes !!!

7)あとがき
 中田高さんからデータベースの「gallery」の下記写真を利用した礼状が来ました。その後のメールのやり取りも添付します。

https://glacierworld.net/gallery/Nepal_B/2013Nepal/2013.11Khumbu/2013%2C11/20131103_East_Khumbu/index.html#R1076693.jpg
お礼
中田高
2024/09/01 04:49
伏見さま
お世話になります.
いつもブログを読ませて頂いています..
以前,ご提供いただいた伏見さん撮影のカラ・パタールから撮影されたエベレストの写真がこの度,Geomorphological evidence inconvenient for the antecedent rivers of the Arun and Tista across the Himalayan range,
J. Mt. Sci. (2024) 21(9): 3001-3017に掲載されました.

ヒマラヤにおける氷河争奪の典型例として紹介しています.
大変ありがとうございました.
まずはお礼と報告まで,
中田高

Re: お礼
FUSHIMI Hiroji
中田高
2024/09/01  13:25
中田さまーーー伏見です
早速メールをお送りくださりありがとうございます。
また、データベースの写真を使って下さったとの事
ですが、「氷河争奪」のテーマでしたら、ローラを
かいして、ロンブックとクンブ両氷河の表面高度差
が良く分かる下記のグーグルアース画像のほうが相
応しかったかもしれません。ご検討ください。

グーグルアースはおもしろい!
9) グーグルアースの8000m峰
A) エベレスト(チョモランマ;8848 m)


https://hyougaosasoi.blogspot.com/2024/08/blog-post.html

お礼
中田高<takashinakata0602@gmail.com>
​2024/09/01  13:44
伏見さま
ご指摘,ありがとうございます.
論文では,他データで作成した鳥瞰図を使って両氷河を示していましたので,現地の地上写真の方がベターだと考えました.
中田

8)追記
 7)章の「あとがき」で中田高さんから礼状が来たことに加えて、中田さんの論文がオープンアクセスになったことを本日知らせてきましたので、下記に添付します。

Re: お知らせ
中田高<takashinakata0602@gmail.com>
2024/09/24
​伏見さま
お世話になります.
伏見さんからご提供いただいたカラパッタルから撮影された写真が掲載された論文が,オープンアクセスになりました.
お金がないので掲載料を払っていないのでオープンアクセスになったことが不思議です.
ご笑覧ください.
https://www.researchgate.net/publication/383908004_Geomorphological_evidence_inconvenient_for_the_antecedent_rivers_of_the_Arun_and_Tista_across_the_Himalayan_range#fullTextFileContent
1980年初頭の木崎隊の調査のときからの主張で,MCTは死んでおりHigher Himalayaは局地的に隆起をしていないという話です.
フランス人たちが河床縦断面の数値解析からヒマラヤ隆起を主張していますし,GPS計測でもそうだと言われていますのでので,反対や異論は少なくないと思います.
中田
Geomorphological evidence inconvenient for the antecedent rivers of the Arun and Tista across the Himalayan range
August 2024Journal of Mountain Science 21(9):3001-3017
DOI: 10.1007/s11629-023-8341-x
LicenseCC BY 4.0
Takashi NakataTakashi NakataYasuhiro KumaharaSambit Prasanajit NaikSambit Prasanajit NaikHarutaka Sakai
Abstract
The Arun and Tista Rivers, which flow across the Himalayas, are commonly known as antecedent valleys that overcame the rapid uplift of the Higher Himalayan ranges. To clarify whether the idea of antecedent rivers is acceptable, we investigated the geomorphology of the Himalayas between eastern Nepal and Bhutan Himalayas. The southern part of Tibetan Plateau, extending across the Himalayas as tectonically un-deformed glaciated terrain named as ‘Tibetan Corridor,’ does not suggest the regional uplift of the Higher Himalayas. The 8,000-m class mountains of Everest, Makalu, and Kanchenjunga are isolated residual peaks on the glaciated terrain composed of mountain peaks of 4,000–6,000 m high. The Tibetan glaciers commonly beheaded by Himalayan glaciers along the great watershed of the Himalayas suggest the expansion of Himalayan river drainage by glaciation. For the narrow upstream regions of the Arun and Tista Rivers with less precipitation behind the range, it is hard to collect enough water for the power of down-cutting their channels against the uplifting Himalayas. The fission track ages of the Higher Himalayan Crystalline Nappe suggest that the Himalayas attained their present altitude by 11–10 Ma, and the Arun and Tista Rivers formed deep gorges across the Himalayas by headward erosion.
訳(https://bard.google.com/)
Arun川とTista川は、ヒマラヤ山脈を横断する川であり、通常、ヒマラヤ山脈の高地が急速に隆起するのを克服した先駆的な谷として知られています。先駆的な川という考えが妥当かどうかを明確にするために、ネパール東部からブータンヒマラヤまでのヒマラヤの地形の調査を行いました。チベット高原の南部は、ヒマラヤ山脈を越えて、'チベット回廊'と呼ばれる構造的に変形されていない氷河地形として広がっており、ヒマラヤ山脈の高地の地域的な隆起を示唆していません。エベレスト、マカル、カンチェンジュンガの8,000メートル級の山々は、4,000〜6,000メートル級の山々の氷河地形に孤立した残丘です。ヒマラヤ山脈の大分水嶺に沿ってヒマラヤ氷河によって一般的に断頭されるチベット氷河は、氷河作用によるヒマラヤ河川流域の拡大を示唆しています。Arun川とTista川の狭い上流域は、山脈の裏側で降水量が少なく、隆起するヒマラヤに対して河床を下刻する力のための十分な水を集めるのは困難です。ヒマラヤ山脈の高地結晶ナップのフィッショントラック年代は、ヒマラヤ山脈が11〜10 Maまでに現在の高度に達し、Arun川とTista川が頭部侵食によってヒマラヤ山脈を横切る深い峡谷を形成したことを示唆しています。
訳注
    先駆的な谷 (antecedent valley): 山脈が形成される前に存在していた谷で、その後の山脈の隆起にも関わらず、河川がその谷を維持し、山脈を貫通して流れることを指します。
    ヒマラヤ山脈の高地結晶ナップ (Higher Himalayan Crystalline Nappe): ヒマラヤ山脈の高地部に露出する結晶岩層のナップ構造のこと。ナップ構造は、地殻の水平的な運動によって形成された地質構造です。
    フィッショントラック年代 (fission track dating): 放射性物質の核分裂によって形成されたトラック(痕跡)を測定することで、岩石の年代を推定する方法。
    頭部侵食 (headward erosion): 河川の上流部が侵食によって後退していく現象。
この訳は、原文の科学的な用語や概念をできるだけ忠実に訳すように努めました。ただし、日本語の表現に適応するため、一部の表現は意訳しています。

Re: お知らせ
FUSHIMI Hiroji
2024/09/24
​中田高​
​中田さまーーー伏見です
論文がオープンアクセスになったことをお知らせ下さり感謝します。早速、下記のブログ末尾に紹介させていただきました。ただ、「Abstract」をグーグルBardで翻訳していますので、問題点がありましたら、お知らせください。

8)追記
データベース「氷河の世界」の閲覧状況
https://hyougaosasoi.blogspot.com/2024/09/blog-post.html

Re: お知らせ
中田高
​2024/09/26
伏見さま
ご紹介ありがとうございます.
antecident riverは「先行谷」と呼ばれています.
あのHolmsの教科書にもArunとTistaは先行谷の典型として紹介されています.
今回の論文は,高ヒマラヤは急速に隆起していると暗々裏に信じている多くの研究者には受け入れられないと思います.
しかし,チベット高原南部から氷食を受けた小起伏(といっても相対的なもので,比高が1000mを超える)がそのままヒマラヤ南縁近くまで連続し,エベレストやカンチェンジュンガが残丘としてその上に載っている事実は否定できないと思います.
数値解析をしなければ科学ではないと考える研究者が多い今日,今回の古典的な地形学の成果は評価されないでしょうね.
中田


 

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