2026年2月26日木曜日

琵琶湖の水資源への積雪の役割

琵琶湖の水資源への積雪の役割

 

1)はじめに

琵琶湖の水位は2025年夏以降、降水量減少の影響で低下し、12月26日の水位が‐67㎝と、例年の平均を30㎝下回った。そこで、琵琶湖からの放流量を毎秒15トンに絞っていたが、アユ漁のエリと呼ばれる定置網が使えなくなり、船のスクリューを動かすと破損してしまうため、湖の底を棒で突いて移動させざるを得なくなるほどだった(資料1)。そこで、滋賀県は「水位低下連絡調整会議」を2年ぶりに設置し、琵琶湖の漁業やレジャーなどへの水位低下の影響を調査している。

琵琶湖は「近畿1450万人の水がめ」と呼ばれ、琵琶湖水位が注目されている(資料2)。なにせ、琵琶湖の面積が大きいため、水位1cmに相当する水量は近畿の人たちの1日分の総水量に匹敵する(資料3)からである。その琵琶湖水位は、太平洋側各地のダム湖の水位低下傾向と同様に1月初めまで減少していたのが、1月中旬以降は太平洋側各地のダム湖の水位低下傾向とは逆に増加しているのである。なぜ、そうなるのか?

私は、瀬田川沿いの散歩で京滋バイパスの橋下に示されている毎朝6時の水位・放流量の表示板(写真1)をカメラで記録している。デジカメだからこそできる一種のフィールドノート(資料3)のつもりだ。そのフィールドノートと現地調査の結果から、太平洋側各地のダム水量の減少化が進む中で、逆に増加傾向を示す琵琶湖の水資源への積雪の役割について報告する。

 

写真1 2026年1月1日(左)と1月31日(右)の琵琶湖水位(左下)と放流量(右下)。

 

2)滋賀県北部の大雪

冬期の滋賀県北部は日本側気候区になり、しばしば大雪に見舞われ、新幹線などの交通機関に影響をあたえている(写真3の左)。滋賀県内の2026129日~30日の降雪予報や交通機関への影響は次のように報告されていた(写真2;資料4)。

 

写真2 2026129日のNHKテレビの画像(資料4)。

強い寒気の影響で、滋賀県内では北部を中心に雪が降っていて、129日夜から30日昼前にかけて大雪となるおそれがあります。気象台は積雪や路面の凍結による交通への影響に注意するよう呼びかけています。気象台によりますと、強い寒気の影響で県内では北部を中心に雪が降っていて、29日午後5時までの積雪は▼長浜市余呉で110㎝、▼高島市今津で11㎝、▼米原市で10㎝となっています。県内では29日夜から30日の昼前にかけて北部を中心に大雪となるおそれがあり、30日夕方までの24時間に降る雪の量はいずれも多いところで▼北部の山沿いで40㎝、平地で30㎝、▼南部の山沿いで30㎝、平地で20㎝と予想されています。気象台は積雪や路面の凍結による交通への影響などに注意するよう呼びかけています。【鉄道への影響】交通機関にも雪の影響が出ています。JR西日本によりますと、▼湖西線は近江舞子と近江塩津の間で29日午後5時ごろから終電まで運転本数を減らして運行するほか、30日は始発から午前7時ごろまで運転を取りやめます。30日は▼北陸線の長浜と福井県の敦賀の間でも始発から午前7時ごろまで運転を取りやめます。(以上は資料4)

 

写真3(左)琵琶湖周辺の冬のランドサット画像と日本の豪雪地帯分布;(中と右)202528日のひまわり画像で(中)は12:00と(右)は17:00の雪雲分布。

大雪警報が出ていた20252月8日、名古屋での山仲間の新年会に出席するため、石山駅から東海道線の各駅停車に乗り、道中の雪見をしながら積雪量分布とその変化を観察した(資料5)。新幹線は雪で遅れが出ているニュースが流れていたので、在来線のほうも気にしていたところ、滋賀県では湖西線と米原以北の路線が減便とのことだったが、石山から名古屋までの東海道線には遅れは出ていないとのことで、雪見道中フィールドワークを楽しむことができたのは幸いであった。

午前中の往路では岐阜県側の関ケ原周辺の積雪量が最も多かったが、午後の往路では積雪量が多い地域が西方に移動し、関ケ原周辺から滋賀県側の柏原や近江長岡周辺に変化するとともに、滋賀県中部の能登川や八幡の積雪量が午前中よりも午後のほうが増えていたことが分かった。その原因は、ひまわり画像の雪雲分布から、雪雲の収束帯が午前中は琵琶湖から関ケ原町の今増峠方向に分布していたのが、午後になると琵琶湖から甲賀町の鈴鹿峠(資料5;写真3中と右)の方向になったため、降雪分布が西方に変化したことによると解釈できた。そのことは、さらに広域的な滋賀県の降雪分布をみると、卓越風が西風だと北部の余呉町などの地域の積雪が増える「北雪」タイプになり、そして卓越風が西から北へと変わるにつれて、琵琶湖周辺の雪雲の収束帯が関ケ原の今増峠方面から甲賀市の鈴鹿峠方面に変化したので、積雪量分布の特徴が「中雪」タイプになったことによると解釈できた(資料5と6)。

 

3)20261月~2月の大雪による除雪作業中や交通関連に事故

20261月から2月にかけて、日本海側を中心に記録的な大雪が発生し、積雪深は青森市酸ヶ湯で458㎝、山形県大蔵村肘折で327㎝、新潟県魚沼市守門で320㎝など(写真4)に達し、除雪作業中の落雪や交通障害など、大雪に関連する事故や被害が全国的に次のように相次いだ。

Japan's Internal Affairs Ministry資料7) says 10 people have died over a seven-day period as a result of harsh winter conditions and snow-related accidents.Six people died in Niigata prefecture on the Sea of Japan coast. Local officials say four died from medical problems while shoveling snow, or during other activities. Others in Niigata died by falling from rooftops while removing snow.

Weather officials say the snowfall across wide areas of Japan has peaked, and the worst of the weather is now over.The accumulation of snow has already surpassed the yearly average, even in areas where the snow has stopped falling.Over one meter has fallen in Sapporo in the northernmost prefecture of Hokkaido, the most since 2022. About four and a half meters has accumulated in Sukayu in the Hakkoda mountain range of Aomori Prefecture. Uonuma City in Niigata Prefecture has been buried under nearly two and a half meters of snow.

A low-pressure system is predicted to intensify the snow and winds across areas from Hokkaido to the Hokuriku region on Tuesday. Some areas in the Hokuriku and Chugoku regions are likely to get rain. More heavy snow is expected along the Sea of Japan coast from northern to western Japan on Thursday and Friday, as a strong mass of cold air moves south. With temperatures rising and rain falling in some areas, people in areas with large accumulations of snow should be on alert for avalanches, snow falling from rooftops, and accidents while removing snow.

写真4 全国観測値ランキング(22日)1040分現在。

AI による概要

20261月〜2月初頭の雪による主な事故・被害状況(速報ベース)

    死者数: 1月下旬以降の寒波で、全国で合計10人〜14人以上が死亡。

    負傷者数: 200人が負傷。

    主な要因: 除雪中の事故(屋根からの転落、落雪、水路への転落)、雪道での交通事故(立ち往生、スリップ)が急増。

    主な地域: 新潟県、青森県、北海道、秋田県など北陸・日本海側。

    具体例: 21日には新潟県だけで除雪中の事故で1日に4人が死亡、JR七尾線でのスリップ事故(128日)、JR北海道での97本運休(22日時点)など。

20262月上旬時点でも、大雪や屋根からの落雪による事故が相次いでおり、今後も記録的な大雪による被害が拡大する可能性があるため、注意が必要です。

※本情報は202622日時点のニュース・速報に基づくものです。正確な最終的な事故数は、冬シーズン終了後に消防庁等から発表されます。

 

4)滋賀県北部の2026年の豪雪状況

余呉町中河内の27日の積雪深(資料8)は214210㎝、そして栃木峠にある余呉高原スキー場の積雪深(資料9)は295㎝(131日)から345㎝(25日)であった(写真5)。このような大雪のため、雪崩注意報が2月下旬でも滋賀県北部地域に出されている。

 

写真5(左)余呉町中河内の27日の積雪深と栃木峠にある余呉高原スキー場の積雪深。

202624日に行った長浜市余呉町の積雪調査結果(写真6)から余呉町北部の中河内の民家は2m以上の雪に覆われており(写真6の上中と右)、県境の福井県側の道路は大雪のため閉鎖され(写真6の下左)、伊吹山は雪に覆われ(写真6の下中)、琵琶湖に注ぐ余呉町の高時川は豊富な雪解け水を流していた(写真6の下右)。

   

     

写真6 琵琶湖と長浜市余呉町の位置図と24日の滋賀県北部の豪雪風景 (上左)長浜市の調査位置図;(上中と右)余呉町中河内の豪雪風景;(下左)福井県側は豪雪で閉鎖されている県境の栃木峠;(下中)北陸自動車の長浜付近から見た伊吹山;(下右)融雪水を琵琶湖に流す余呉町の高時川。

 

写真7 気象衛星「ひまわり」の(左)は2026280830分;(右)同日1200分の画像。

202628日のひまわり画像には日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)が分布し。山陰から東北地域にかけて雪雲が押し寄せていることが分かる。

 

5)琵琶湖集水域の積雪現象の特徴

琵琶湖集水域の積雪現象には、北海道や東北などの寒冷地と異なり、冬でも降水・降雪・融雪・流出の諸過程が併行してすすむ。だから、日本の積雪からみると、琵琶湖の雪はいわば暖地積雪だ(資料6)。琵琶湖集水域の雪は冬でも解けて、融雪水が湖を潤す(資料10と11)。

シベリアやモンゴルなどの凍った大地をふきぬけてくる北西の季節風は、対馬暖流によって温められた日本海をわたるうちに水蒸気をふくむ。そして、温められた空気は上昇し、雪雲ができる。この過程は気象衛星「ひまわり」の画像でおなじみだ。日本海からおしよせる雪雲は、日本の脊梁山脈でせきとめられ、日本海側一帯に雪をふらす(写真3の左)。そのなかでも、北陸地方はとくに雪がおおい。

北海道の雪のように、冬のほとんどの期間、積雪の温度(雪温)が零度以下で、水をふくまない乾いた積雪にたいして、琵琶湖の積雪は冬でも雪温が零度の場合がおおく、水をふくんで重い。このような積雪を、中島暢太郎(資料12)と渡辺興亜(資料13)はそれぞれ暖地性積雪、暖候地積雪とよんだ。これが、ここでいう暖地積雪である。とくに琵琶湖集水域の南部では、冬でも降雪・降水・融解・流出の諸現象がひんぱんにおこる。そのような積雪現象の変化のはげしい地域を、樋口敬二(資料14)は「ときどき雪国」と称した。新幹線や名神高速自動車道などで間欠的におこる交通障害は典型的な「ときどき雪国」現象である。その時の降雪は「ゲリラ雪」と呼ばれることもある。

 

6)琵琶湖の水位変化と放流量

毎朝の琵琶湖水位などの写真資料をまとめた図1の(左)は20261月の琵琶湖の水位変化(単位は㎝)で、(右)は20261月の琵琶湖からの放流量変化(単位は毎秒トン:m3/s)である。両者の変化傾向は、興味あることに、1月初めから月末に向かって右上がりのほぼ相似的変化をしている。そして、琵琶湖水位は1月初めの‐62㎝から、太平洋側各地のダムのように水位低下はせずに、さらに、放流量は月初めの25(毎秒トン:m3/s)から月末の45(毎秒トン:m3/s)へと増加しているにもかかわらず、月末の水位は‐56㎝程度へと6㎝ほど上昇していたのである。このことは、放流量の増大による水位低下の影響を打ち消して、さらに水位を上昇させる要因になる集水域からの河川流量が増大したことを示している。そのため、琵琶湖の水資源を管理する国土交通省は下流の淀川水系の渇水化を補うために、琵琶湖からの流出量を1月末に向かって増大させても琵琶湖水位の維持が可能と判断したためと考えられる。河川流量の増大は、まぎれもなく融雪量の寄与であることを4)章で述べた琵琶湖集水域北部の豪雪現象と琵琶湖に注ぐ余呉町の高時川の豊富な雪解け水に関する現地調査が示している。

 

図1 (左)20261月の琵琶湖の水位変化(単位は㎝);(右)20261月の琵琶湖からの放流量変化(単位は毎秒トン:m3/s)。

 

7) まとめ

国土交通省によると、2025年の秋以降、関東から九州の太平洋側を中心に渇水の傾向が続き、太平洋側各地のダムは貯水率が低下したため、取水制限などが行われている河川がある。2026126日時点のダムの貯水率は、愛媛県の鹿野川ダムで1%、高知県の大渡ダムで6%、奈良県の大滝ダムで9%、静岡県の佐久間ダムで23%、徳島県の長安口ダムで24%、大分県の大山ダムで29%などとなっている(資料15)。このため、国が管理する関東から九州にかけての11の河川と琵琶湖の各流域では、渇水対策が行われている。

  

写真7 (左)東京都日野市の中央線の鉄橋付近の浅川の光景;(中)中央線の鉄橋下流の水位計付近の浅川:(右)水位計の水位測定部分よりも水面が低下している状況。

東京都日野市の浅川を2026217日に観察する(写真7)と、水位低下で河原が広がり、中央線が渡る鉄橋下流の水面が水位計の水位測定部分よりも低下してしまっていた。これでは水位を測定することができない。浅川は文字通りの「浅い川」になってしまっていた。降水量が少ないことに加えて、琵琶湖集水域のように、上流部の山岳地域に積雪が少ないため融雪水の寄与が少ないことが「浅い川」になってしまった要因と思われる。

  

写真8 融雪が進む2026222日の(左)は名神高速自動車道からの伊吹山と(中)は湖岸道路からの比良山地の景観、そして(右)は2026222日の琵琶湖水位と放流量の表示。

余呉町中河内の積雪情報(資料8)によると、27日から224日に積雪深は210㎝から130㎝に1日当たり約5㎝減少し、またヨゴコーゲン・スキー場(資料9)では同期間に335㎝から210㎝に1日当たり約7㎝の割合で減少していた。2026221日に名神高速自動車道からの伊吹山(写真8左)と琵琶湖の湖岸道路からの比良山地(写真8中)を見ても残雪が少なくなり、融雪がかなり進んでいるので、雪解け水が琵琶湖に流入してきていることをうかがわせる。さらに、2026224日の琵琶湖水位の表示板(写真8右)を見ると、放流量は毎秒41トンと1月中旬以降ほぼ一定であるが、琵琶湖水位は‐52㎝と1月初めの‐62㎝よりも10㎝も上昇しているのは、まさに、雪解け水の効果と考えられる。そのため、水位1cmに相当する水量は近畿の人たちの1日分の総水量に匹敵する(資料3)から、近畿の人たちの10日分もの水量が琵琶湖に貯えられたといえる。

雪どけ水は低温のため、溶存酸素濃度が高いうえ、湖水より密度が大きいので、雪どけ水が琵琶湖に流入すると、河口から湖底ぞいに密度流として潜りこみ(写真9左)、琵琶湖の深層水に酸素を供給する。積雪量が10億トン以上だと、琵琶湖深層水の溶存酸素濃度は5㎎/lの高い状態に保たれ、10億トン以下だと、琵琶湖深層水の最低溶存酸素濃度は急激に減少している(写真9右;資料16と17)ので、雪どけ水は、富栄養化の進行で琵琶湖深部の低酸素化が進んでいる琵琶湖の水質改善に寄与するとともに、琵琶湖水を利用する近畿の人たちの水資源量に雪どけ水はかけがえのない貢献をする。従って、雪どけ水は琵琶湖の水資源保全のために水量とともに水質の両面で重要な働きをしているといえる。

 

写真9 (左)は濁った雪どけ水が高時川と合流した姉川河口から琵琶湖へ流入し、潜り込んでいる航空写真;(右)は横軸の総積雪水量と縦軸の琵琶湖深層水の年最低溶存酸素濃度の関係。

 

8)補遺-AIの回答-(資料18;ChatGPT”https://chatgpt.com/

8-1)琵琶湖の水資源への積雪の役割

琵琶湖は日本最大の湖で、近畿約1,400万人の重要な水源です。その水量を安定させるうえで、冬の積雪は非常に大きな役割を果たしています。

① 天然の「貯水タンク」としての役割

滋賀県北部(特に伊吹山地や比良山地など)では冬に多くの雪が降ります。

この雪はすぐには湖に流れ込まず、春まで山に蓄えられます。

➡ 春になるとゆっくりと雪解け水となって川を通じて琵琶湖へ流入します。

つまり、積雪は時間差で水を供給する天然ダムのような働きをしています。

② 渇水の防止

雪解け水は主に35月に流入量を増やします。

この水があることで、

春~初夏の水位が安定

夏の渇水リスクの軽減

農業用水の確保

につながります。

積雪が少ない年は、春の流入量が減り、湖の水位が下がりやすくなります。

③ 水質への影響

雪解け水は比較的冷たく清浄です。

湖の水温構造に影響を与える

栄養塩の循環に関わる

生態系のバランスに影響

といった環境面での役割もあります。

④ 気候変動との関係

近年は暖冬傾向により積雪量が減る年もあります。

積雪が減少すると:

春の流入水量減少

水位低下リスク増加

下流(淀川水系)への影響拡大

といった課題が懸念されています。

🔎 まとめ

琵琶湖にとって積雪は:

水を貯める

🌸 春にゆっくり供給する

💧 渇水を防ぐ

🌱 生態系を支える

という重要な役割を持っています。

もしよければ、

「水位変動との具体的な関係」や「淀川水系とのつながり」まで詳しく説明しましょうか?

 

8-2)水位変動との具体的な関係や淀川水系とのつながり

🌊 水位変動との具体的な関係

琵琶湖の水位は、主に次の4つで決まります。

① 流入量(雨・雪解け水)

② 流出量(瀬田川からの放流)

③ 蒸発

④ 取水(上水・農業・工業用水)

積雪が多い年

冬:雪として山に貯留(すぐには湖に入らない)

春(35月):雪解け水が流入増加

結果:春の水位が回復・安定

この春の“貯金”があることで、夏に多少雨が少なくても急激な水位低下を防げます。

積雪が少ない年(暖冬)

冬に雨として流れてしまう

春の雪解けピークが小さい

梅雨前に水位が低い状態になりやすい

実際に積雪が少なかった年には、湖面がマイナス水位(基準水位より低い)まで下がり、取水制限が行われたこともあります。

つまり積雪は、

「春の最低水位を押し上げる安全装置」

のような役割を持っています。

🌊 淀川水系とのつながり

淀川は琵琶湖を水源とする一級河川で、

琵琶湖

→ 瀬田川

→ 宇治川

→ 淀川

→ 大阪湾

という流れになっています。

この水は、

京都市

大阪市

神戸市

など関西の大都市圏の水道水を支えています。

🏙 積雪が淀川水系に与える影響

① 春の安定流量を確保

雪解け水により春の放流量が安定

→ 下流の水道・農業用水が安定供給

② 夏の渇水リスク軽減

春に水位が高い

→ 夏の少雨でも急な取水制限を回避しやすい

③ 洪水調節とのバランス

冬の降水が雨になると、

一時的な流量増加(洪水リスク)

春の水不足

という「タイミングのズレ」が生じます。

📊 全体像まとめ

積雪は:

時期  役割  下流への影響

    山に貯水     洪水抑制

    ゆっくり放出 水位回復

    貯金として機能     渇水防止

つまり、

積雪 = 琵琶湖の季節調整機能

🌊 琵琶湖 = 淀川水系の心臓部

という関係です。

もしよければ、

「過去の渇水事例」や「気候変動で今後どうなるか」まで掘り下げますか?

 

8-3)過去の渇水事例や気候変動で今後どうなるか

以下では、過去の渇水事例と、気候変動が今後どのように琵琶湖・淀川水系の水資源に影響を及ぼすかについて、できるだけ詳しく解説します。

🧭 ① 過去の渇水事例 — 琵琶湖の歴史から見る水位低下

📉 1994年の渇水

1994年に近畿地方全体で渇水が発生し、琵琶湖の水位が異常に低下しました。特に春以降の少雨・少雪により水位が大幅に低くなったため、取水制限が検討される事態となりました。水資源機構の調査によれば、その年は当時としても深刻な水不足が観測され、湖岸の干上がりなど環境・利水双方への影響が確認されています。

📉 2000年前後の乾燥期

2000年頃にも長く雨が降らない乾燥期間があり、湖水位が1m近く低下した状態が報道されています(例: 報道によると雨不足で深刻な水位低下が発生)。

📉 ● 近年(20242025)の低水位

2025年秋〜冬にかけて、降水量が低く推移した影響で、滋賀県内の観測で基準水位から−60〜−70cm台まで低下したと報告されています。こうした水位低下は水道・農業・工業用水の需給バランスにも影響を及ぼす可能性があり、滋賀県は政府に水位低下の抑制策を要望しています。

地元報道でも水位低下が地域経済・生活に影響を与えつつあると指摘されています。

🌍 ② 気候変動が今後どうなるか — 琵琶湖・淀川水系への影響

🔥 1) 積雪量や融雪パターンの変化

気候変動が進むと、

冬の気温が上昇し、積雪が減少

雪が溶けて川へ流れ込む時期が早まる

という傾向が予測されています。これにより、春の雪解けによる水の供給が減少・早期化し、需給バランスが崩れやすくなります。特に冬季の雪が少ない年は、春以降に渇水リスクが高まる可能性が指摘されています。

📈 2) 水位の季節変動そのものの変化

統計的な研究(過去150年のデータなど)では、気候変動の影響により、

無降水日数の増加

降雨の極端な集中(短時間大雨 → その後長期少雨)

といったパターンが強まることが示されています。これらは従来の季節性とは異なる水文リズムを生み、渇水リスクを高めます。

🌀 3) 淀川水系全体での渇水リスク増大

淀川流域では、過去の気候変動予測に基づいたモデル解析で、渇水リスクが将来的に高まる可能性が示されている研究があります。気候モデルでは降雨の極端化や少雨日数の増加により、従来は安定していた流量が不安定になりやすいという予測が出ています。

📊 ③ 気候変動が水質にも影響する可能性

積雪量の減少や雪解け時期の変化は、単に水量だけでなく水質にも影響する可能性が指摘されています。例えば、雪解け水が持つ溶存酸素が少なくなることで、湖の深層水の酸素濃度が低くなる(低酸素化)可能性があるという研究結果が報告されています。これは湖の生態系や水環境にとって重要な影響です。

🛠 ④ 社会・制度的な対応

近年、関係機関や自治体では、渇水リスクに対する対策計画(タイムライン方式、水資源調整など)の整備が進められています。これは、気候変動による水文リズムの変化を前提に高度な事前対応を行うためです。

🌟 まとめ:渇水と気候変動の「つながり」

影響項目     これまでの事例     今後の見通し

水位低下     1994年、2000年頃、2025年の低水位 積雪減少と少雨でリスク増

季節変動     春の雪解けで水位回復      雪解け時期の前倒し・減少

下流への影響 渇水時の取水制限    淀川流域の需給バランス悪化

水質  深層酸素不足の可能性      低酸素・生態系への影響

必要なら、**「渇水時にどんな取水制限が行われるか」や、「気候変動対策の具体例(ダム管理や節水策)」**についても説明できます。興味があれば聞いてください!

 

8-4)渇水時にどんな取水制限が行われるかや、気候変動対策の具体例(ダム管理や節水策)」

🚱 渇水時にどんな取水制限が行われるか

琵琶湖の水位が低下すると、湖から流れ出る淀川水系全体で段階的な取水制限が実施されます。

管理の中心は国(近畿地方整備局)と水資源機構です。

🔹 ① 取水制限の基本的な流れ

琵琶湖の水位(基準水位B.S.L.±0m)を基準に、一定の低下幅で段階的に対応します。

水位の目安   主な対応

30cm前後    節水要請(広報)

50cm前後    取水○%削減(例:10%)

70cm前後    強化取水制限(例:20%以上)

さらに低下   追加制限や緊急調整

※実際の制限率は状況により変動します。

🔹 ② 誰が制限されるのか?

優先順位はおおむね次の通りです:

🚰 上水道(家庭用)→ 最優先で確保

🌾 農業用水 → 減圧・番水(時間給水)

🏭 工業用水 → 取水削減要請

家庭の蛇口がすぐ止まることは通常ありませんが、

減圧給水

夜間断水

節水キャンペーン

などが行われる場合があります。

🔹 ③ 過去の具体例

1994年の渇水では、淀川水系で最大20%規模の取水制限が実施され、近畿各地で節水協力が呼びかけられました。これは、琵琶湖の水位低下が直接、大阪市や京都市の水供給に影響するためです。

🌍 気候変動対策の具体例

① ダム管理の高度化(流域全体での調整)

淀川水系には複数のダムがあります(例:天ヶ瀬ダム など)。

✔ 近年の対策

AIや予測降雨データを活用した事前放流の最適化

洪水と渇水を両立させる「弾力的運用」

複数ダムの連携操作

従来は「洪水対策中心」でしたが、現在は「洪水+渇水リスク管理」へと考え方が進化しています。

② 琵琶湖の水位操作

琵琶湖からの唯一の自然流出口である瀬田川には洗堰(可動堰)があり、放流量を人工的に調整しています。

✔ 渇水時

放流量を絞る

下流との協議でバランス調整

✔ 洪水時

早めに放流して洪水容量を確保

この「調整機能」があることで、琵琶湖は巨大な調整池として機能しています。

③ 節水・需要側対策

🏙 都市部での取り組み

節水型トイレ・機器の普及

再生水利用(下水処理水の活用)

漏水対策の高度化

大阪などでは過去30年で1人あたりの水使用量は大きく減少しています。

④ 流域治水・森林保全

積雪量減少への対応として、

森林保全による保水力向上

流域全体での水循環管理

が重要視されています。

山の保水機能が弱まると、

洪水が増える

渇水も増える

という両極化が起きやすくなります。

🔮 今後の課題

気候変動が進むと:

雪が減る

🌧 雨が極端化する

🌡 蒸発量が増える

結果として、

「洪水と渇水が同時に増える時代」に入る可能性が指摘されています。

🌊 全体まとめ

琵琶湖は:

近畿1400万人の水源

淀川水系の心臓部

巨大な自然ダム

そして今後は、自然(積雪)+人工(ダム管理)+社会(節水)の三位一体で水資源を守る時代に入っています。さらに専門的に、「気候モデルでは2100年にどう予測されているか」まで踏み込みますか?

 

8-5)気候モデルでは2100年にどう予測されているか

🌍 2100年に向けた気候モデル予測

(琵琶湖・淀川水系への影響)

※ここでは主にIPCCの代表的な将来シナリオ(RCPSSP)に基づく日本域の予測研究を踏まえて整理します。

① 気温上昇の見通し

IPCC の第6次評価報告書(AR6)では、

🌡 +1.52℃(強い対策を実施した場合)

🌡 +34℃以上(対策が不十分な場合)

という幅が示されています。

日本(特に本州中部)では、

全球平均よりやや高い昇温が予測されるケースもあります。

👉 琵琶湖流域では

**年平均気温+3℃前後(高排出シナリオ)**が想定される研究もあります。

② 積雪の将来予測 ❄

🔻 大きな変化が予測される分野

気温上昇により:

降雪日数の減少

積雪深の大幅減少

融雪時期の前倒し(1か月程度早まる可能性)

滋賀県北部の山地では、21世紀末には現在の積雪量の半分以下になる可能性を示すモデルもあります。

▶ 何が問題か?

従来:

冬に雪として貯蔵 → 春に安定供給

将来:

冬に雨で即流出 → 春の水不足リスク増大

つまり、

天然ダム機能の弱体化が懸念されています。

③ 降水パターンの変化 🌧

モデル予測では:

年間降水量

大きくは変わらない可能性

ただし「降り方」が極端化

変化のポイント

短時間強雨の増加

無降水日の増加

梅雨・台風の強度増大

👉 結果:

洪水は増える

しかし「使える水」は安定しない

という二極化が進む可能性。

④ 琵琶湖の水位への影響

琵琶湖は巨大ですが浅い湖でもあります。

予測される変化:

🌡 表層水温の上昇(+24℃)

💨 蒸発量増加

❄ 春の流入量減少

シミュレーション研究では:

夏~秋の低水位リスク増大

水位変動幅の拡大

が示唆されています。

⑤ 水質・生態系への影響

水温上昇により:

深層の溶存酸素低下(貧酸素化)

全層循環の弱体化

アオコ発生リスク増大

これは琵琶湖固有種や漁業にも影響します。

⑥ 淀川水系全体への波及

淀川流域は約1,400万人の水源。

2100年高排出シナリオでは:

渇水発生頻度が現在の1.52倍程度に増加と推計する研究も

取水制限日数の増加

ダムの再設計・再運用が必要になる可能性

🔮 2100年の姿(シナリオ比較)

項目  強い対策(低排出)  対策不十分(高排出)

気温  +1.52    +34℃以上

積雪  減少するが維持     大幅減少

渇水頻度     やや増加     大幅増加

洪水  増加  大幅増加

水質  管理可能レベル     深刻化の恐れ

🎯 本質的なポイント

気候モデルが示す最大のメッセージは:

「水が減る」のではなく「水のタイミングが崩れる」ということです。琵琶湖はこれまで**積雪という“時間差装置”**で安定してきました。その装置が弱まることが、最大の構造的リスクです。

もしよければ次は:

📊 2100年の具体的水位シミュレーション例

🏗 それに対応するインフラ再設計案

🌱 自然ベース解決策(Nature-based Solutions

どこまで踏み込みますか?

 

8-6)2100年の具体的水位シミュレーション例

気候モデルを使った 2100年に向けた琵琶湖(B.S.L.基準)水位の具体的推計例 について、研究ベースのシミュレーションを踏まえて説明します。これらは気候変動に伴う降水・積雪・蒸発・流出入などを確率モデルや水循環モデルで計算したもので、将来的な渇水リスクの「量的な目安」を示しています。

📊 琵琶湖水位の将来水位推計(気候変動シナリオ)

多くの研究では 気温上昇が進み、2100年ごろに気温が約4℃高くなる気候シナリオ(高排出シナリオ)を想定しています。この状況下での水位変動シミュレーションの特徴をまとめると次のとおりです:

🔻 ① 「最低水位」が大幅に下がる可能性

研究では、琵琶湖の年間最低水位について次のような推定値が示されています(B.S.L.基準:湖面高さ指標)。

指標  今の気候     未来(+4℃暖化)

年間最低水位(非バイアス補正)   低水位が出る確率は低い    B.S.L. 3.04 m ~ −3.74 m

年間最低水位(バイアス補正)     同上  B.S.L. 4.46 m ~ −5.92 m

これは、「100年に1回起こるほどの渇水水準」としての推定値です。2100年の気候では、現在よりも極端な低水位になる確率が高まることを意味しています。

📉 ② なぜこんなに下がるのか(主要要因)

このように極端な低水位が予測される背景には、複数の水循環変化が重なっています:

✔ 積雪の減少 — 北部山地での冬の雪が減る

→ 春のゆっくりとした流入が減少

✔ 降雨の極端化 — 雨は一時的に強く降る

→ 降水は一気に流れ、多くが蒸発・流出してしまう

✔ 気温上昇 — 蒸発量が増える

→ 湖面から失われる水が増加

これらが重なり、年間を通じて安定した水量が維持されにくくなるシナリオとなっています。

📌 視覚的なイメージ(概念)

2100年にかけての琵琶湖水位挙動をイメージ化すると:

今の気候

─── ▲───────────

   / \     / \   / \

  /   \   /   \ /   \   ← 季節変動(春雪解け→増水、夏→減水)

未来(+4℃暖化)

─── ▲───────────

 /      \    /   \

/        \ /     \   ← 春の増水が小さく、低水位幅が拡大

※ これは概念図であり、数値シミュレーションの一例を示したものです。

🌧 「低水位リスク」が増える意味

このような水位低下は、単なる「過去より低い水準」ではありません。

研究では、こうした 深刻な渇水水準が出る確率が大きく高まることが指摘されています:

✔ 現在:B.S.L. 1.5 m 水準は稀

✔ 未来:B.S.L. 3 m 〜 −6 m 水準が高頻度で出る可能性

つまり、「今の基準なら危険とされる水位」が将来頻繁化するとも読める推定です。

こうしたシミュレーションの限界

これらの数値は:

気候モデルの前提(排出シナリオ)

降水・蒸発モデルの設定

水利用量(ダム・取水調整)の仮定によって変わります。

つまり、絶対値としての水位そのものではなく、相対的な傾向やリスクの変化を見るものと考えるのが適切です。

📘 要点まとめ

🎯 2100年に向けて、琵琶湖の 最低水位が大幅に低くなるリスクが高まる可能性がある。

❄ 春の積雪による水の“バッファ”が弱まり、極端な渇水が生じやすい。

📉 高排出シナリオでは、B.S.L. 3〜−6 m に相当する深刻な低水位が将来の 100年洪水(渇水)級として推定されている。

必要であれば、

📌 具体的な確率分布(頻度解析)

📌 2100年までの水位変動モデル例(年変動グラフ)

📌 渇水が実際の利水・生態系に与える影響

についてもさらに詳しく解説します。興味があればどうぞ!

 

8-7)2100年までの水位変動モデル例(年変動グラフ)

具体的な 2100年までの水位変動モデル例は、琵琶湖自体の将来水位を時間軸で描いた研究データとして公開されているものは一般公開文献では少なく、専門論文や研究報告の「要約・傾向」の形でしか情報が得られていませんが、どのような形で描かれるのか/何を示すのかについて解説すると次のようになります。

📉 ① 典型的な年変動モデルの構造

未来の水位変動モデル(例:2100年まで)では、横軸を 年度、縦軸を B.S.L.基準の水位値 としたグラフを用います。

これにはおおむね次のような季節ごとのパターンが示されます。

モデルに含まれる主な変数

年間降水量・積雪量の変化

春の雪解け水流入量

蒸発量(気温上昇を反映)

ダム・放流などの人為的操作条件

年ごとの洪水・渇水イベント

このように複数の気候モデル(例:GCM)をベースに、水循環モデルが水位の時間推移を再現します。

📊 ② グラフでどう表現されるか

実際に将来予測モデルで描かれる年変動グラフは以下のように読み取れます(実際の数値例は研究専門誌のデータを引用したイメージ解説です):

水位 (B.S.L.)

 +2m ──────────────

      ⎯⎯⎯⎯⎯    

                

 +1m ─│──────│─────│──────  2100年ごろ

                

  0m ─│──────│─────│──────  現在比較基準

                

 -1m ─│──────│─────│──────

               

 -2m ─╱        ╲ ╱

      └────────────── 年

       2020   2040   2060   2080   2100

👉 この例図は 平均的な傾向 を示したもので、実際のモデルでは次を表現しています:

📍 季節的変動はあるが

沖積された雪融水が減少する未来では、春の回復ピークが低くなる傾向が予測されます(雪の貯留・解け水が減少するため)。

(これは、気候変動による積雪の減少という研究から予測される傾向です。)

📍 低水位域が頻発する

モデルによっては、現在では稀な水位レベル(B.S.L. 2m 〜 −3m)が、将来では複数年にわたり現れる可能性が高くなるという解析例もあります(専門的な未来水位推計研究で示唆された傾向)。

🧠 ③ どこが変化しているか(モデルでの読み方)

✔ 現在の季節幅

今の気候では、

春:雪解けで水位上昇

夏秋:降雨・蒸発・放流で調整

冬:総量調整

という巡航的な変動です。

✔ 未来の季節幅(2100年モデル)

気候変動モデルでは:

春のピークが 低く・早くなる傾向

夏の低水位期間が 長く深くなる傾向

年間全体の変動幅が 大きくなる可能性

というパターンが想定されます。これは、未来の気温上昇に伴う積雪減少・融雪時期の前倒し・蒸発増加によるものです。

📌 ④ なぜ「グラフで見るべきか」

水位変動をグラフ化することで、

春の最小水位と年間最大水位の幅がどう変わるか

低水位がどの程度続くか

確率的な渇水イベントの発生頻度

などが視覚的に把握できます。

この情報は、

📍 水道・農業・工業用水の需給管理

📍 ダム放流計画

📍 渇水時の社会的対応

にも反映されます。

🧩 ⑤ 実際の数値データは研究専門誌で扱われる

専門的な水循環モデルや気候モデルを用いた研究では、2100年の将来水位について数十~数百年分の水位経時データを元に統計的な頻度解析を行いますが、これらは通常論文内の図表として提供されています(例:150年連続ランによる未来予測解析など)。

🧠 まとめ

📈 年変動モデル例(概念的)には次の特徴があります:

春の水位ピークが低くなる

夏〜秋の低水位が深く長くなる

年間振幅が大きくなる可能性

現在より深刻な渇水レベルが頻発するリスク

このようなグラフは気候モデルに基づく数値シミュレーションの典型的な出力形式であり、将来の水資源管理戦略に活かされます。

必要であれば、

📊 「具体的な確率分布としての渇水頻度推計」

📊 「水位モデルで重要な気候モデル(例えば SSPシナリオ)」についても解説できます。どちらを深掘りしましょうか?

 

8-8)水位モデルで重要な気候モデル(例えば SSPシナリオ)

🌍 水位モデルで重要な気候モデル— SSPシナリオと琵琶湖水位予測の関係 —

2100年の琵琶湖水位を予測する際、基礎データとして使われるのが 気候モデル(GCM)+SSPシナリオ です。

① そもそもSSPとは?

SSPShared Socioeconomic Pathways)は、IPCC 6次評価報告書(AR6)で採用された将来シナリオです。

これは単なる「気温予測」ではなく、

経済発展

人口動態

エネルギー利用

温室効果ガス排出

を組み合わせた社会+気候の統合シナリオです。

② 水位予測で特に重要なSSP

琵琶湖の水位モデルでは、主に以下のシナリオが使われます。

シナリオ     特徴  2100年気温上昇目安 水位への影響

SSP1-2.6    強い温暖化対策     +1.52  積雪は減るが残る

SSP2-4.5    中間シナリオ +23    減雪・蒸発増加

SSP5-8.5    高排出 +4℃以上   積雪大幅減・渇水増

※後ろの数字(2.6 / 4.5 / 8.5)は放射強制力(W/m²)。

③ 水位モデルとの接続方法

ステップ①:全球気候モデル(GCM

日本域に影響する代表例:

MIROC

MRI-ESM

HadGEM

これらがSSPごとの将来気候を出力します。

ステップ②:ダウンスケーリング

全球モデルは解像度が粗い(100km単位)。

そこで日本域に詳細化します。

✔ 降水量

✔ 積雪量

✔ 気温

✔ 蒸発量

を琵琶湖流域スケールに変換。

ステップ③:水循環モデルへ入力

流域水文モデルが計算するのは:

河川流入量

地下水流入

湖面蒸発

人為放流

これらを年単位・日単位で積算し、

👉 B.S.L.水位の将来時系列を出します。

④ シナリオ別の水位変動の違い

🔵 SSP1-2.6(低排出)

積雪は減少するが完全には消えない

春の水位ピークはやや低下

渇水頻度は「やや増加」

👉 現行のダム管理高度化で対応可能な範囲とされる研究も多い

🟡 SSP2-4.5(中間)

積雪量大幅減

融雪時期が早まる

夏の蒸発増加

👉 低水位発生確率が顕著に増加

👉 取水制限日数の増加が想定される

🔴 SSP5-8.5(高排出)

積雪の大幅消失

春の「水位回復バッファ」が弱体化

蒸発増加

👉 年間最低水位が現在より数m低くなる可能性

👉 100年に1回規模の渇水が頻発化

このシナリオで最も水位振幅が拡大します。

⑤ なぜ複数モデルを使うのか?

気候モデルごとに:

降水予測が異なる

台風強度の再現が異なる

日本海側の雪予測に差が出る

そのため、水位予測では「複数GCM × 複数SSP」のアンサンブル平均を取るのが一般的です。

⑥ 琵琶湖特有の重要ポイント

琵琶湖は:

日本最大の貯水量

流出口が瀬田川のみ

人工的に放流制御可能

つまり、気候変動 × 操作ルールの組み合わせで結果が変わります。将来モデルでは「現行操作のまま」か「適応的運用を導入するか」で水位予測が大きく変わります。

🎯 本質的なメッセージ

SSPが変わると:

✔ 積雪量が変わる

✔ 蒸発量が変わる

✔ 極端降雨の頻度が変わる

その結果、琵琶湖の“季節調整機能”がどこまで維持できるかが決まります。

 

9)引用資料

資料1

琵琶湖の水位低下 アユ漁など漁業にも影響 滋賀 守山

2025年12月26日午前11時42分

https://news.web.nhk/newsweb/na/nb-2060019862

資料2

琵琶湖水位考(2)「写真データベース」

https://glacierworld.net/regional-resarch/japan/biwalake/biwa-lake-water-lebel2/

資料3

琵琶湖水位考

https://glacierworld.net/regional-resarch/japan/biwalake/lake-biwa/

資料4

滋賀県内 北部中心に大雪のおそれ 交通影響など注意

2026129日午後533

https://news.web.nhk/newsweb/na/nb-2060020083

資料5

石山~名古屋の積雪量変化 雪見道中フィールドワーク

https://glacierworld.net/home/snow-fall-ishiyama-nagoya-sector/

https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/20260126_17/

資料6

琵琶湖の雪

https://glacierworld.net/regional-resarch/japan/biwalake/biwako-snow/

資料7

Record snowfall across Japan leaves 10 dead

Monday, Jan. 26, 22:07

資料8

ロードネット滋賀 余呉町中河内 積雪情報

https://www.shiga-douro.jp/weathers/snows/28

資料9

滋賀のゲレンデ情報 ヨゴコーゲンリゾート☆ヤップ

https://weathernews.jp/ski/spot/36002/

資料10

琵琶湖の雪どけ水

https://glacierworld.net/regional-resarch/japan/biwalake/melsting-snow-biwa-lake/

資料11

琵琶湖の雪 -プロローグ-

https://glacierworld.net/regional-resarch/japan/biwalake/snow-of-biwa-lake-prologue/

資料12

中島暢太郎・後町幸雄・井上治郎(1977) 琵琶湖周辺の気象(1). 京大防災研究所年報、20、Bー2553569.

資料13

渡辺興亜(1980) 地球上の積雪地域. 月刊地球、海洋出版、2、3、189200.

資料14 

樋口敬二(1978) 雪国文明論.“第3回雪国問題研究会速記係”、136、国土庁地方振興局、東京.

資料15

雨少なく各地のダム貯水率低下 取水制限行われている河川も

202621日午前033

https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015040721000

資料16

Influence of climatic warming on the amount of snow cover and water quality of Lake Biwa, Japan. 1993, Annals of Glaciology, International Glaciological Society, 18, 257-260.

https://www.cambridge.org/core/journals/annals-of-glaciology/article/influence-of-climatic-warming-on-the-amount-of-snow-cover-and-water-quality-of-lake-biwa-japan/3C1FB3CAE8AB34AB4D6C8C373A7F7A18

資料17

気候変動と琵琶湖の水資源.1995,水資源・環境研究, 水資源・環境学会, 8, 36-47.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jwei1987/1995/8/1995_8_36/_pdf/-char/ja

資料18

琵琶湖の水資源への積雪の役割

ChatGPThttps://chatgpt.com/