2017年ネパール通信3(写真報告)
「カトマンズ大学にきました」
カトマンズに4日間滞在し、3月14日、カトマンズ盆地の東端ドゥリケルにあるカトマンズ大学に来ました。ここでは大学の近況などについて写真22枚で報告するとともに、2つの会議報告に追われながら、3月27日から4月5日までのランタン村周辺の調査準備をしています。
前述の2つの会議報告の1つ目は、2016年11月に開催された第8回ネパール地質会(下記資料)において発表した「Himalayan Earthquake Museum(ヒマラヤ地震博物館)」で、3月末が原稿提出の締め切りなので、ランタン地域の調査前に提出していくつもりです。2つ目は2017年4月10~11日開催の「International Conference on Mountain Hydrology and Meteorology for the Sustainable Development(持続的開発のための山岳地域の水文と気象に関する国際会議)」の会議報告ですが、その会議がまだ開かれていない3月15日が原稿提出の締め切りでしたので、カトマンズ到着早々に「GLOF Characteristics of the Nepal Himalaya(ネパール・ヒマラヤの氷河湖決壊洪水の特徴)」を提出しました。
資料
2016年ネパール通信14
ネパール地質会議が始まるとともに、東ネパールで地震発生
http://glacierworld.net/travel/nepal-travel/nepal2016/geological-conference2106/
2016年ネパール通信14
帰国しました
http://glacierworld.net/travel/nepal-travel/nepal2016/back-to-japan/
写真1 カトマンズ大学の本部建物と花壇のサクラ
カトマンズ大学は春たけなわである(写真1)。サクラが満開、モクレンやタンポポなどが咲きほこっている。 大学の杉並木を背景にした美しいサクラ(写真2)で日本の春を思い出した。ネパールのヒマラヤ・ザクラは秋が花の時期*だから、1年に2度も、サクラを楽しむことができる。
* 2016年ネパール通信13 カトマンズに戻りました
写真19 カトマンズ大学構内の満開のヒマラヤ桜
http://glacierworld.net/travel/nepal-travel/nepal2016/back-to-kathmandu/
写真2 杉並木を背景に満開のサクラ
写真3 ヒマラヤ周氷河、気候、災害研究センターのある建物
丘の上に建つカトマンズ大学の友人、リジャン・バクタ・カヤスタ助教授のヒマラヤ周氷河 ・気候・災害研究センター(写真3)には、新しく入学してきた4人の修士課程の学生たちがおり(写真4)、4月12日から5月31日まで講義*を行うことになっている。そのため、プロジェクターなどの講義室の設備を事前に調べたところ、去年のような不具合はなく、さらに今年は1日10時間にもおよぶような計画停電もないので、順調な講義ができそうな感じがした。ただ、時々、突然、短時間(10分程度)の停電があるので、要注意であることには変わりはない。
* 2017年ネパール通信1
2017年春ネパール旅行-カトマンズ大学講義など-の予定
http://glacierworld.net/travel/nepal-travel/2017-2/2017-1shedule/
写真4 研究室の新しい学生たち
写真5 大学食堂で食事をとる学生たち
大学食堂でバイキング形式の食事をとる学生たち(写真5)は、身分証明書のカードでメニューを選び、カード決済をする新しい方法を行っていた。女性でもかなりのご飯をとっているが、男子ともなると、山盛りのご飯をたいらげるのにはびっくりした。お腹の出たネパール人が最近多くなったのもうなずける。ネパールで代表的なメニューであるダル・バートは豆のスープとご飯にくわえて、野菜などの料理で60ルピー(約67円)、去年より10ルピー値上がりしている。この日は、20ルピーのヨーグルトをくわえたダル・バート(写真6)で、すぐれて健康的な食品であった。
写真7 大学の花壇からから見るスモッグに覆われたカトマンズ盆地方向
大学の花壇から見るカトマンズ盆地方向は濃いスモッグに覆われており(写真7と8)、西風が吹くと、カトマンズ盆地のスモッグが大学周辺に押し寄せてくる。 大学に来て10日ほどになるが、残念ながら、ヒマラヤの神々の座を拝むことは未だにできないでいる。写真8は定点写真撮影地点からのもので、スモッグがなければ*、また多少のスモッグでも**、マナスル三山が見渡せるのに、残念だ。
* 2015年ネパール春調査(4)
国際氷河会議の終了とカトマンズ大学の講義開始
カトマンズ大学での講義開始
http://glacierworld.net/travel/nepal-travel/nepal2015/nepal2015_04ku-lecture/
**2015年ネパール春調査(5)
カトマンズ大学にて
http://glacierworld.net/travel/nepal-travel/nepal2015/5-%e3%82%ab%e3%83%88%e3%83%9e%e3%83%b3%e3%82%ba%e5%a4%a7%e5%ad%a6%e3%81%ab%e3%81%a6/
写真8 大学周辺は晴れればマナスル峰が見えるのだが、濃いスモッグに覆われている。
写真9 大学近くの峠からスモッグに覆われたカトマンズ盆地を眺める。
カトマンズ盆地から大学に来る時に越えるサンガ峠から見るカトマンズ盆地はスモッグが充満している(写真9)。カトマンズ盆地内の空港近くの道路は土ほこりにまみれていた(写真10)。カトマンズはかつて湖だったので、砂や泥の堆積物が乾いたところに、車が通ると、泥や砂のほこりが発生しやすい。このことも、カトマンズ盆地の大気汚染を引き起こしている。
写真10 カトマンズ盆地内の空港近くの道路は土ほこりにまみれていた。
写真11 バクタプールのレンガ工場群も大気汚染の原因だ。
整備の悪い自動車の廃棄ガスに加えて、 ネパールの建築に欠かせないレンガを焼く工場の煙(写真11と12)がカトマンズ盆地の大気汚染の原因になっているのは、カトマンズ到着時に飛行機からも見てとれた*。
*2017年ネパール通信2(写真報告)
昆明経由でカトマンズに着きました。
http://glacierworld.net/travel/nepal-travel/2017-2/2017-02picture-gallery/
写真12 レンガ工場の煙。
2015年4月のネパール地震発生から2年ほどになるが、 文化遺産の復興は遅々として進んでいない(写真13と14)のは、去年とほとんど同じ*で、ますます先が思いやられる。
* 2016年ネパール通信13 カトマンズに戻りました
写真8 カトマンズの旧王宮の復旧状況
http://glacierworld.net/travel/nepal-travel/nepal2016/back-to-kathmandu/
写真14 文化遺産2の復興は遅々として進まず。
写真15 毎朝のゴミ片付け風景
大気汚染に水質問題にくわえて、ゴミもカトマンズの緊急課題である(写真15と16)のだが。
写真16 毎朝のゴミ片付け風景
写真17 水配給用のトラック
水質の問題とともに、水不足も深刻である。カトマンズの各所で、給水車(写真17と18)がホテルや一般家庭などに配水している。
写真18 水配給用のトラック
写真19 ネパール登山協会のアンツェリン会長(左)とサンタ副会長と国際山岳博物館展示の大森さんの大型写真の更新について協議した。
ポカラの国際山岳博物館に展示されている大森弘一郎さんのヒマラヤの大型写真更新のためにネパール登山協会のアンツェリン会長(左)とサンタ副会長とで協議し(写真19)、更新することになった。そのため、大森さんの大型写真の印刷について印刷屋で検討(写真20)した結果、大型写真の印刷が可能であることがわかった。ただし、ネパール登山協会の役員選挙が5月にあるというので、何とかその前で、現会長・副会長の在任中に更新が実現すると良いのだが。
写真20 大森さんの大型写真の印刷について検討した。
写真21 1975年から調査しているキムシュン(ツェルベチェ)氷河
ランタン村周辺*では、2015年4月25日のネパール地震で発生した雪崩がランタン村を直撃し、大災害を引き起こした雪崩堆積物の(層位学的な)調査と1975年以来調査をしているキャンジン・ゴンパ北のキムシュン(ツェルベチェ)氷河の変化(写真21)を明らかにしたい。写真21は、1875年1月21日の氷河末端部の写真に、2012年4月16日に現地を訪れた干場悟さんが撮影した写真をもとに、末端位置の変化を赤線で示している。
*(ランタン地域の雪崩と氷河変動調査)
Mar.27-Apr. 05; Field Trip to Langtang, as the KU students have examinations and extra-curricular activities.
2017年ネパール通信1
2017年春ネパール旅行-カトマンズ大学講義など-の予定
補遺
1)講義期間とランタン地域の調査について
http://glacierworld.net/travel/nepal-travel/2017-2/2017-1shedule/
写真22 ランタン調査に携行する主な調査用具
ランタン調査に携行する主な調査用具(写真22)は、 1)地質調査用ハンマー、2)GPS(位置と高度測定)、3)双眼鏡、4)クリノメーター(傾斜と方位角測定)、5)と6)乾電池充電器、7)Convex Ruler(金属製の巻尺;2m)、8)寒暖計(気温・水温測定)、9)と10)カメラ2台(1台は予備)、11)竹竿1m(測深・測長棒;10cm間隔のテープを利用し水深や長さを測定するとともに、カメラの一脚用にも、さらに犬避け用の棒にもなる)で、その他の衣類や常備薬、嗜好品も含めて総重量約7キロである。体調に留意し、ネパール風のビシタリ(ゆっくり)流で、1人で荷物を担ぎ、「経費1人10日間2万円以内」のライト・エクスペディションを目指したい、と計画している。
カトマンズ大学でお世話になっている友人のリジャンさんは、ぼくの歳のことをおそらく考えてくれて、ランタン調査にはガイドとポーターがいるほうが良いと言うが、ライト・エクスペディションとして経費増大は望まぬことに加えて、3回目のランタンは道も分かっているし、貞兼さん*に紹介していただいた現地の人たちがいるので、リジャンさんにはできる限り現地からの電話で安心してもらうことにし、最近の日本のニュースにもよく出てくる標語「安心・安全」を心がけて行ってきます。
*2017年ネパール通信2(写真報告)
昆明経由でカトマンズに着きました。
写真11 ランタン村の支援活動を続ける貞兼綾子さん(ウツセ・ホテルにて)
http://glacierworld.net/travel/nepal-travel/2017-2/2017-02picture-gallery/
次回はランタン村周辺の調査結果について、4月中旬には報告します。それでは、皆さんも、ご自愛ください。
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