マディ川氷河湖洪水
調査7日目にマディ川上流域の(Gapche)地点にある岩屑に覆われた氷河に到達した。(Gapche)氷河末端の高度は、これまでネパール・ヒマラヤで知られている最低位置の約2500mである。(Gapche)氷河の特徴は、上流部のいわゆる涵養域がなく、アンナプルナⅡとラムジュン・ヒマールの峰々に囲まれた高度約7000mの氷河の崩壊したデブリが直接氷河の上部に堆積し、氷河を涵養していることである(下写真右)。地元の村民によれば、15年前には氷河湖はなく2003年と2005年および2009年に氷河湖の決壊洪水(GLOF)が発生した、と言っていることから考えると、2000年前後から(Gapche)氷河の末端部が融解し、氷河湖が形成されたこと、また高度7000m周辺の氷河の大崩壊が起これば、直接氷河湖に達し、大(津)波を発生させ、GLOFをひきおこす要因になるであろうことは容易に推察できる。
温暖化の進行とともに氷河や岩壁の崩壊が進む可能性は大いにあるので、マディ川のGLOFは多発するのではないか、と危惧される。この種のGLOF発生機構は、言ってみれば、いわば“水鉄砲”のようなもので、高度7000m周辺の氷河や岩壁の大崩壊によるエネルギーで、氷河湖水が鉄砲水のように押しだされて洪水を発生させるイメージといえよう。
(Gapche)氷河・湖地域を離れた調査8日目に、アンナプルナⅡとラムジュン・ヒマールの峰々に囲まれた高度約7000mの氷河が崩壊した雪崩を見ることができた。
(6月7日付の金井氏からのメイルによると、マディ川GLOF堆積物の粒度組成は細粒 (0.2mm)が4.7%、中粒 (2mm)が16.8%、粗粒 (>2mm)が78.6%なのに対し、セティ川洪水の当初の泥質堆積物の粒度組成は、それぞれ12.5%、87.5%、0%であるので、全体的にセティ川洪水堆積物はより細粒で、マディ川GLOF堆積物は相対的に粗粒堆積物であることを示す。ただ、pHはセティ川洪水堆積物が6.1、マディ川GLOF堆積物が6.7で弱酸性を示しているのはなぜなのか?今後の成分分析の結果が待たれます)。
高度7000m周辺の氷河の崩壊が(Gapche)氷河を涵養していることから、仮に大崩壊が起こるとすれば、直接氷河湖に達し、大[津]波を発生させ、モレーンを破壊し、GLOFをひきおこす要因になるであろうことは容易に推察できる。クンブ地域のラグモチェ(ディグ)GLOFとも共通する要因がある、と解釈できる。温暖化の進行とともに氷河や岩壁の崩壊が進む可能性は大いにあるので、このようなGLOFは多発するのではないか、と危惧される。この種のGLOF発生機構は、言ってみれば、いわば“水鉄砲”のようなもので、高度7000m周辺の氷河や岩壁の大崩壊によるエネルギーで、氷河湖水が鉄砲水のように押しだされて洪水を発生させるイメージといえよう。
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