2020年7月17日金曜日

AACH備忘録(1)-コロナ禍で“Why”を問う-

AACH備忘録(1)-コロナ禍で“Why”を問う-


(1)はじめに
 コロナ禍にかかわるAACH(注)メイルの下記1)と2)はその後の進展がないようですし、言いっぱなしの平行線のままになってはいないでしょうか。その原因は、“Why”の視点が乏しいから、と考えます。“Why”の視点があれば、リスクの原因に迫ることができ、解決の糸口を見つけることができる、可能性があります。そこで、“Why”の潤滑油で、多様な考え方を束ねる共通原因を探り、問題解決の道を考えました。
(注)AACHとはAcademic Alpine Club of Hokkaido University(北海道大学学士山岳会)の略です。

1)石村実 昭和28年入部(2020/06/20  午前8:27)
「最近一部の会員に目に余る発言があります。すこし前の吉田勝君のコロナウイルスは風邪みたいなもの、大騒ぎするなとか …」(注;“Why”「目に余る」のでしょうか?)
2)吉田勝 1957年入部(2020年06月20日 午後 8:38)
「私の発言は今現在の日本のメディアの流行からは間違いなく問題ありと世間に糾弾を呼び掛けられるでしょう。しかし、将来いつかには、間違いなく正鵠を得た発言だったとされると私は信じています。」(注;“Why” 正鵠を得た発言になるのでしょうか?)
以上のメイルはともに6月20日に投稿されましたが、その後1か月近くたつ現在、上記の1)と2)の間に同日の遠藤禎一さん(2020年06月20日 午後 2:12)の「石村さんの意見に同意いたします」というメイルがあった以外は誰も何とも言っていないようなのはどうしたことでしょうか。コロナの非専門家としては、ダンマリを決め込むこともできますが、誰にもふりかかる可能性のあるパンデミックなコロナですので、誰しも一家言を述べる権利は保証されてしかるべきでしょう。だがその際は、石村さんの「MLは自由発言の場ではあるが、会の「品位」というものがある。山の会会員としての節度を保ってもらいたい」との指摘は心にとめておきたい、と思います。

(2)そもそもの発言
 石村さんのそもそもの1)の発言は、下記の3)の松本部長の報告に対しての、4)の吉田さんのメイルを指しているのでしょう。

3)松本伊智朗 山岳部長・79年入部(April 1, 2020  1:21 PM)
「3月29日(日)に追いコンを行いましたが、その開催を知った外部の社会人の方(仮にA氏、部員の何人かと面識あり、松本は面識なし)から、強いご批判がありました。」(注;このメイルの全文は末尾のPSで紹介します)
4)吉田勝 1957年入部(2020年04月01日 午後 9:13)
「…今回の騒ぎはインフルエンザ流行より桁違いに危険性が少ない。…」
この吉田さんの指摘にも、やはり“Why” 桁違いに危険性が少ないのか?がないのですが、インフルエンザのようなワクチンが新型コロナにもできれば、リスクは少なくなり、吉田さんが指摘する「将来いつかには、間違いなく正鵠を得た発言」になるのでしょう。ただし現時点では、そんなワクチンはまだ開発されていません。ワクチン開発については素人ですが、コロナ禍の当初の武漢ではアビガミンの効果があったと言われていましたが、新しい結果ではその効果が乏しいとの結果になっているのは新型コロナの変異と関係しているようです。新型コロナの変異とそのリスク管理のイタチごっこが進んでいるのでしょう。そのことは2)の吉田さん自身も「私の発言は今現在の日本のメディアの流行からは間違いなく問題あり」と認めている通りで、将来は「正鵠を得た発言」になると主張しているのですから、石村さんと吉田さんの間には新型コロナ禍対策に関する時間的変化のとらえ方にズレがあったのが原因だ、と解釈できます。

(3)まとめ
 新型コロナ禍対策に関するリスクの大きい現況を重視する1)の石村さんとそのリスクが小さくなる将来から見ている2)の吉田さんとの時間的変化を考慮すれば、言いっぱなしの平行線のままになっている両者の指摘に認められる乖離は解消することになるのではないでしょうか。

(4)その他の関連情報
 その他のコロナ禍に関連するAACHメイルでは、高田寛之さん(2020年06月21日 午前 5:33)の各国別の死者数に対する遠藤さん(2020年06月23日 午後 8:44)の宗教との関係を解析した独自報告と、さらにそれに対する高田さんの(2020年06月24日 午前 5:07)のコメント(注;“Why”両者の指摘の国と宗教と関係するのですか?)があります。さらにまた、森田英和さんの山の会総会報告・北大コロナ指針のお知らせ(2020年07月11日 午後 11:24)とそれに関係した小野寺弘道さんの北大山岳館からのお知らせ(2020年07月15日 午前 9:01)がぼくの手元ファイルにある全ての資料のようです。また、引用した各氏のメイルはその一部分であり、不十分な点もありますので、全てのメイルの元資料にあたる便宜のために、煩雑にはなりましたが、メイルに記載されたママの投稿日時も示しました(従って、投稿日時の記載方法はメイルごとに異なっていることをお断りしておきます)。

(5)松本さんのメイル
 上記3)の松本さんの報告(April 1, 2020  1:21 PM)は、ここで取り上げたコロナ禍をめぐる各氏のメイルの原点であるとともに、石村さんが指摘する前述の「…会の品位と山の会会員としての節度…」を示す好例になると感じましたので、下記に全文を掲載させていただきます。(注;松本さんのメイルの全文掲載にあたっては、すでに公表されている資料ではありますが、本人の事前承諾を得ています)

部長の松本です。
3月29日(日)に追いコンを行いましたが、その開催を知った外部の社会人の方(仮にA氏、部員の何人かと面識あり、松本は面識なし)から、強いご批判がありました。
追いコンの開催については、現役から松本に相談があり、感染リスクを下げるよう環境をコントロールしたうえで、開催の判断を松本が行いました。その後の2次会の話を現役から聞いて、少々リスクが高いと考え、現役には指導を行いました。
松本が電話でA氏と応対しました。上記の説明では納得されず、環境のコントロールの中身ではなく、大学から自粛要請が出ている状況のなかで開催すること自体がそもそも問題ではないか、その点について顧問の考えを伺いたいとのことでした。確かに、遭難防止に気を取られて、里でのリスク管理が甘くなっていたところはありますので、その点は反省し、OB会でも指摘を共有したいと申し上げ、A氏は了解されました。
上記のご指摘を共有するとともに、OB諸氏に置かれましては、登山活動のみならず、里での身の処し方についても、現役にご指導賜りますよう、お願い申し上げます。また松本の判断が甘くなっていたことについて、謝罪申し上げます。
今後とも、現役へのご支援をよろしくお願いいたします。
松本伊智朗 山岳部長・79年入部

上記に対して、下記1)の石村実さんと2)の兜森直哉さんから返信がありました。

1)石村実さん

[AACH-ML 3551] Re:コロナ禍で“Why”を問う
tokomaramushii@jcom.home.ne.jp
2020年07月18日 午後 5:03
宛先:aach-ml@aach.ees.hokudai.ac.jp 
吉田、伏見ら諸兄
小生はAACH-MLで諸兄らと新型コロナウイルスについて議論しようとは思っていませ
ん。小生の提言はMLの使い方についてです。今やこのMLは北大山の会、山岳部の内々
の連絡網だけではありません。他大学山岳部関係の人たちも興味をもって見守ってい
ます。ですから一種の公器です。従ってMLに発言する人も気を付けるべきです。山岳
部の部長が新型コロナ対策として部活動の自粛に懸命になっているとき、OBが現役部
員に「自粛の休みを利用して大いに単独行をやれ」などけしかけたらたまったもんで
はないでしょう。
近年、AACHは日本の山岳会において見直され評価が高まっています。これは住吉前東
京支部長、渡辺ダン吉、浜名らがエルム会などの活動を通じてもたらした成果です。
ですから創立90周年行事にはJACは勿論他大学山岳部関係者も大勢参加しました。
又、北大山岳館の設備運営も称賛の目で見られ、蔵書の提供などの申し込みもおおい
のです。空沼ヒュッテの保存も評価が高いのです。
小生が「目に余る」投稿といったのはこうした世間の目を意識しろという意味です。
現政権批判は結構ですが、まんじゅうの写真などにコメントつけるなどはユーモアで
はなく、悪ふざけです。
 あえて、改めて強調します。AACHはデモクラチックな組織で言論。思想は当然自由
です。但し、AACH-MLは公器化してますから誤解をまぬかぬよう節度をもって運用す
べきです。 石村実

2)兜森直哉さん

[AACH-ML 3552]AACH-MLをお読みになっている皆様へ
kabu@seagreen.ocn.ne.jp
2020年07月18日 午後 7:49
宛先:aach-ml@aach.ees.hokudai.ac.jp 
AACH-MLをお読みになっている皆様へ
1979年入部の兜森直哉です。
 最近、皆様もコロナのおかげでストレスが溜まっているようで、MLでいろんな議論が起こっています。でも、MLって、議論する場なのでしょうか。
 私は、MLで自分の意見を発表すること自体は素晴らしいことだと思っています。
もちろん、公の場で自分の意見を発表するということは、読んでいる人すべてに対して責任を持つという覚悟でやっているという前提のもとでです。
 そもそも、MLという形態のもとで議論するということにどういう意味があるのでしょうか。MLで議論して結論が出るなんてあるのでしょうか。議論している方は自分が正しいと思って言っているのでしょうが、ML上で議論している限り、相手方を納得させることはほぼ不可能でしょう。 ですから、議論するならML上ではなく、お互いのメールアドレスでやってくれたらいいと思います。
 私は、AACH-MLは議論する場ではなく、意見を発表する場に限定すべきだと思います。意見に対して賛同するのは構いませんし、意見に対して新たに自分の意見を発表するのも良いと思いますが、反論するのは個別の場にしていただきたいと思います。
 発表された意見を評価するのは、反論した人ではなく、読んでいる皆様だと思います。
 
追記
上記の内容に関して、澤柿さんからコメントをいただいていますので、下記に添付します。
Takanobu Sawagaki <sawagaki@hosei.ac.jp>
伏見さま 澤柿です.
たいへんご無沙汰しております.
 AACH-MLに投稿されたコロナ禍議論のまとめを大変興味深く拝読し,Webサイトに掲載された記事も読ませていただきました.ときとして散漫になりがちなAACH-MLでの議論を的確にまとめていらっしゃるなぁと,感心して読ませていただきました.
沢柿 教伸(さわがき たかのぶ)
法政大学 社会学部
E-mail:sawagaki@hosei.ac.jp



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