ネパール2014春調査報告 12 番外編
メコン河下流地域(PHOTO エッセイ)
メコン河発祥の地であるチベット東南部を1980年と1987年に旅行し、またメコン河中流部のラオスを2013年に滞在した(資料1)ので、今回の「ネパール2014春調査」の番外編として、残された最下流部のデルタ地帯をぜひ見たいと思っていた。それに、メコン河下流域に関しては、以下のような問題意識をもっていたからでもあった。
問題意識
1) メコン河は中国チベットに源を発し、ビルマ、ラオス、タイ、カンボジア及びベトナムなどの東南アジアを貫流し、南シナ海に注ぐ全長4350kmの国際的な大河川である。また、南シナ海の沿岸部では石油資源・領土の国際的な紛争地域で、今まさに、ベトナムと中国がその問題をかかえている。
2) 21世紀後半には、東南アジアなどの南アジアの人口は世界の半分近くをも占める、との推計がある。エネルギー問題とともに環境問題がますますクローズアップされ、地球環境からみても、この地域は難局を迎えることだろう。
3) 地球温暖化が進行し、世界中の氷河が解けるとともに水温上昇で、海水面が上昇する。東南アジアの沿岸域や大河川河口域に洪水や海水浸入(河川水・地下水の塩水化)などの直接的な影響が出るため、淡水の水資源を求める環境難民が大量に発生する可能性がある。
4)ベトナム・アメリカの国交回復やビルマの民主化などをはじめ、また経済力を高めた中国の進出によって、メコン河流域の東南アジアが動きだしている。長らく続いた戦乱とその後の後遺症から立ち直り、この動きは今後とも加速することだろう。
4)ベトナム・アメリカの国交回復やビルマの民主化などをはじめ、また経済力を高めた中国の進出によって、メコン河流域の東南アジアが動きだしている。長らく続いた戦乱とその後の後遺症から立ち直り、この動きは今後とも加速することだろう。
資料1
メコンの畔にて(PHOTO エッセイ)
http://hyougaosasoi.blogspot.jp/2013/11/2013.html
写真2 メコン川の下辺林はマングローブで、植物と魚などの豊かな生態系が広がる。Elephant Ear Fishという40cmほどの大きな魚が昼食にでた。
写真3 メコン川デルタ地帯の狭い水路。小舟で水ヤシをかき分けていくと、いかにもかつてのベトナム軍にお目にかかれそうな感じがする。
写真4 アメリカ軍の爆撃を避けるためのCu Chi Tunnel。サイゴン陥落前のここにはベトナム軍の作戦本部があり、トンネルの総延長は250キロに達していたそうだ。
写真5 Cu Chi Tunnelのアメリカ兵を捕えるためのトラップが随所に設置されていたとのこと。
写真6 Cu Chi TunnelのB52爆撃機によるクレター。右下はベトナム戦争当時のクレターの跡(航空写真)。
写真7 銃ごとに値段の違うCu Chi Tunnelの有料射撃場。例えば、カービン〈ライフル〉銃だと一発25000ドン(150円)で、10発まとめて1500円で試し打ちができる。人気があり、銃声がひっきりなしに続いていた。
写真8 アメリカのライフ誌にでた戦乱に悲しむベトナム少女の写真(War Remnants Museumで)。戦争の悲劇を訴える迫力を感じる作品だ。
写真9 War Remnants Museumでたくさんのベトナム戦争当時の写真を見る観光客。
写真10
War Remnants Museumで展示されていた子供たちの平和を願う絵画。
写真11 南ベトナム軍の本拠地を1975年4月に奪還した北ベトナム軍の戦車(Reunification Palaceで)
写真12 スクーターやオートバイで動き回るベトナムの庶民。ホンダやヤマハの進出が著しい。
写真13 マーケットのたくましい庶民の平常の生活には、現在進行中の中国との紛争の影響も感じられない。
写真14 ホーチミン(サイゴン)の高層建築が見える下町。夜でも人通りが絶えず、左下の風俗店?もあり。
写真15 ホーチミン(サイゴン)の発展を象徴する中心地の70階ほどの高層ビル群。
それでは、6月15日クアランプールに飛び、6月16日に帰国します。皆さまも、ご自愛ください。
6月14日夜 ホーチミン〈サイゴン〉にて(伏見碩二記)
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