2017年10月6日金曜日

2017年ネパール通信22  余話9 写真データベースの整備と立山雪渓の変化



2017年ネパール通信22  余話9

写真データベースの整備と立山雪渓の変化

 

添付写真 室堂から一ノ越の中間地点から望む紅葉のナナカマド越しの立山本峰(雄山)

紅葉時期の10月2日から5日まで立山カルデラ砂防博物館で干場悟さんにお願いし、1)写真データベースを整備することができました。また、4日午後は室堂から一ノ越まで散策し、従来から定点写真を撮っていた2)浄土山北面の雪渓の変化を調査しました。

1)写真データベース

写真1 北極地域のスバルバール(スピッツベルゲン)島の氷河
ノルウエイのスバルバール(スピッツベルゲン)島のニーオルソンおよびロングイヤービーン周辺で1993年8月に氷河調査を行った。

  「氷河の世界」の写真データベース*の一環として、新たにA)北極地域(438画像)、B) ヨーロッパ(594画像)、C)カラコラム(213画像)とD)チベット(34画像)の写真1279画像を追加し、写真データベースには総枚数う43046画像の「氷河の世界」の写真が整備できました。下記はその一例です。どうぞ、ご覧ください。
*gallery
http://glacierworld.net/gallery/

写真2 ヨーロッパのアルプス(マッターホルン周辺)の氷河
2011年9月の「アルプス3大名峰スイスの旅」ツアーに参加し、ドイツ・スイス・フランスのアルプス地域の山と氷河を観察し、1965年の自転車旅行時の状況と比較し、著しい氷河縮小を確認した。

A)     北極地域のスバルバール(スピッツベルゲン)島(添付写真1)
1993Arctic
http://glacierworld.net/gallery/Arctic/1993Arctic/C07B04S15/index.html
B) ヨーロッパのアルプス(マッターホルン周辺)(添付写真2)
2011Europe_13
http://glacierworld.net/gallery/Europe/2011Europe%20%28Alps%29/2011Europe_13/index.html

写真3 カラコラム(K2峰周辺)の山と氷河  
2011年9月の旅行ツアー「アルプス3大名峰スイスの旅」の最後に、ドバイから関西空港までの飛行機がカラコラム山脈を通過したので、K2峰周辺などの山や氷河地域を撮影することができた。

C) カラコラム(K2峰周辺)(添付写真3)
2011Karakoram_03
http://glacierworld.net/gallery/Karakoram%20%28Dubai-Osaka%29/2011Karakoram_03/index.html
D)  チベット(エベレスト峰周辺)(添付真4)
2001Tibet02
http://glacierworld.net/gallery/Tibet/2001Tibet/2001Tibet02/index.html

写真4 チベット(エベレスト周辺)の山と氷河
2001年8月から11月にわたるロシア・モンゴル・中国・ネパール・インドの調査期間中の9月29日に、ラサからカトマンズへの飛行からチベット側およびネパール東部クンブ地域のエベレスト峰周辺の山と氷河を撮影した。

2)浄土山北面の雪渓の変化
浄土山北面の雪渓の変化を調べるために、10月4日午後に定点写真の撮影地点の一ノ越に到達した時点で、残念ながら、雲が湧き上がってきて良い写真撮影ができませんでしたので、一の越山荘の野口賢一氏にこれまでに撮った写真を渡して、晴れた時点で同様の写真撮影後、メイルで送ってもらうことをお願いしたところ、早速、雲がなくなった当日の日没時の雪渓写真を送っていただきました。送っていただいた写真は日没時に撮影されたため暗く雪渓の形が不鮮明たったので、画質調整をしたうえで、雪渓の形を復元し、従来の調査結果から明らかになった雪渓の変化図*に投影したところ、ほぼ同時期の2014年10月10日の雪渓規模よりも2倍程度大きいことが分かりました(添付写真5)。また、2006年と2014年の8月の同時期の雪渓規模を比較すると、2006年のほうが2倍以上大きかったことを示し(添付写真5)、年々の変化が大きいことが分かるとともに、2014年の雪渓規模がこれらの3年の中では著しく小規模だったことを示しています。
*立山・御前沢調査
http://glacierworld.net/regional-resarch/japan/tateyama/tateyama5/
 

写真5 浄土山北面の雪渓の経年変化

3)お礼
前述の干場悟・野口賢一両氏および、立山カルデラ砂防博物館の飯田肇・福井幸太郎両氏はじめ皆さま方に大変お世話になりましたので、改めて、お礼申し上げます。

付記(2017年10月20日)
   一ノ越小屋から室堂方面への下り口にある道標から撮影された野口賢一と干場悟両氏の10月4日と10月18日の浄土山北面の雪渓の写真を掲載します。

写真6 野口さんが撮影した浄土山北面の雪渓(2017年10月4日午後5時30分)

   浄土山北面の雪渓の規模は10月4日から10月18日にかけてさらに縮小しましたが、干場さんの情報では10月16日に新雪が立山地域に降ったのに加えて、さらに、今後台風21号接近前後の降雪が覆えば、浄土山北面の雪渓は10月18日の規模で越年すると考えられます。

写真7 干場さんが撮影した浄土山北面の雪渓(2017年10月18日午前11時23分)