2016年ネパール通信10
ヒマラヤ地震博物館に関して-雲南懇話会とネパール地質会議、カトマンズ大学講義-
みなさまへ
ヒマラヤ地震博物館について、雲南懇話会およびネパール地質会議で発表するとともに、来年の3月~6月にはカトマンズ大学で3年目の講義をすることになりましたので、お知らせいたします。
1)
雲南懇話会
「第38回雲南懇話会」(添付資料1)が9月4日に行われ、「ヒマラヤ地震博物館」(*1)を発表しました。雲南懇話会は京都大学ヒマラヤ研究ユニット&AACKの共催で、JICA市ヶ谷ビル国際会議場で行われました(添付写真1)。
(*1)2015年ネパール地震の経験から-ヒマラヤ地震博物館構想-
http://hyougaosasoi.blogspot.jp/2016/03/blog-post_23.html
<ちょっと一言>発表の冒頭で下記の点を指摘しましたので、お伝えします。
要旨 1965年以来のネパール・ヒマラヤ調査で、興味ある3つの自然災害を体験した。1)1977年9月3日のクンブのミンボー氷河湖決壊洪水と2)2012年5月5日のポカラのセティ川洪水、そして3)2015年4月25日のゴルカ地震である。いずれも、発生直後に現地調査を行った。それらの自然災害を、ネパール・ヒマラヤの環境変動研究から振り返るとともに、国際山岳博物館の課題を明らかにした上で、ヒマラヤ地震博物館を構想した。
上記の要旨に示したネパールの災害と日本の関東大震災との関連を以下のように指摘しました。
これらの3つの自然災害は、いずれも土曜日に発生しました。このことは、ネパールの自然災害が土曜日に発生するなどとの非科学的なことを示すのではなく、社会的に、土曜日が災害の影響が大きくなる日であることを言いたいからです。ネパールの土曜日は日本の日曜日で、休日ですから、ミンボー氷河湖の決壊洪水では、ナムチェバザールなどでは週1回の市が立つ日で川沿いの道や橋が壊されたため、またセティ川洪水ではポカラ周辺の温泉地の行楽客に、影響が出ました。逆に、ゴルカ地震では安普請の学校は軒並み倒壊しましたが、学校が休日だったのは不幸中の幸いで、校舎にいなかった学童の被害が少なかったと言われています。さらに偶然の一致でしょうが、関東大震災の発生日、大正12年(1923年)9月1日も土曜日でしたので、2学期始業式を終え、半ドンで家に戻っていた多くの学童たちが校舎倒壊による被害を免れたそうです。だが、関東大震災で生き残った学童たちの多くは18年後に始まるアメリカとの戦争で命を落してしまうのですが、ゴルカ地震で被害を免れた多くの学童たちが、ネパールの将来に活躍することを期待しています。
さらに、付け加えますと、両地震の発生時間は、ゴルカ地震が11時56分、関東大震災が11時58分、わずか2分の違い、なんと似ているではありませんか。ネパールでは通常1日2食で、朝食は朝10時頃なので台所の火を消していた昼時と、日本では台所に火がついているお昼の時間帯のように、社会的生活様式が異なるネパールと日本社会で、それぞれの地震の影響を比較する良い事例になるかもしれません。
(添付写真1)雲南懇話会会場
<もう一言>
上記のように、2015年ネパール地震で多くの学校が倒壊しましたので、JICAは緊急支援対策として道路や橋などの交通対策の他に、学校再建を進めています。その一環として、私達の長年の友人であるハクパ・ギャルブさんの建設会社がそのプロジェクトを担当していた(下記ブログ)ところ、ユニセフの親善大使である黒柳徹子さんがハクパ・ギャルブさんの会社が建設する学校を訪問しに来て(下記写真)、彼女と日本語で話をしたことを誇らしげに語っていました。
写真 ハクパ・ギャルブさんの会社が再建する学校をユニセフの親善大使・黒柳徹子さんが訪問した。
(下記ブログ)
ハクパ・シェルパさん
2016年ネパール通信8 お世話になった方々
http://hyougaosasoi.blogspot.jp/2016/05/2016_28.html
地震に関する 二つの国際会議の報告
2016年ネパール通信4
http://hyougaosasoi.blogspot.jp/2016/04/2016.html
(添付資料1)
「第38回雲南懇話会」開催のご案内 ―山旅、環境変動、黎明 / 夢・好奇心―
雲南懇話会代表幹事 前田栄三
「第38回雲南懇話会」を下記のとおり開催致しますので、ご案内します。
「雲南懇話会」は、中国雲南省の最高峰・梅里雪山(6,740m)を中心とする「雲南・チベット地域」及びその周辺地域の総合的な研究を進める事を目的に、2004年12月に発足、今年で12年目となります。
懇話会は、国内での「地域研究の集い」と現地での「Field Work」&「Study Tour」で構成されます。
2016年6月以降雲南懇話会主催は変わらず、京都大学ヒマラヤ研究ユニット&AACK共催となりました。
記
1.日 時; 2016年 9月04日(日)12時45分~17時30分。茶話会;17時30分~18時40分。
2.場 所; JICA市ヶ谷ビル(旧国際協力総合研修所)国際会議場。茶話会は国際会議場横の会議室で行います。
http://jica-ri.jica.go.jp/ja/about/access.html JR中央線・総武線「市ヶ谷駅」下車。
3.懇話会の内容<講師、演題、講演の順序など変更ある場合は、ご了承をお願い致します。>
① 「ネパール、ムスタンの旅」 ‐雲南懇話会第11回フィールドワークの記録、2016年4月‐
桐蔭会山岳部OB会、京都大学学士山岳会(AACK) 遠 藤 州
② 「インド・シッキム州、カンチェンジュンガ東面の山旅、2016年4月」 -困難な入域、
ゼム氷河、シニオルチューの麗姿のことなど- 雲南懇話会幹事、薔薇愛好家 頭師 正子
③ トピック「転換期にあるミャンマーの今、その素顔」-アウンサンスーチー女史への期待-
NPO法人“小水力発電をミャンマーの農村へ”理事、神戸大学名誉教授 大津 定美
④ 「ヒマラヤ地震博物館」 -ネパール・ヒマラヤの環境変動研究から考える-
カトマンドウ大学客員教授、滋賀県立大学名誉教授、北海道大学山の会(AACH) 伏見 碩二
⑤ 「中国の水資源・水環境をめぐって」-沿岸部と内陸部の対比から-
総合地球環境学研究所教授、AACK 窪田 順平
4.懇話会参加費用; 一人2,500円。 但し、学生・院生は無料。
茶話会参加費用; 一人1,500円。 学生・院生は500円。
5.参加申込; 前田栄三まで。
ご参考 ; 懇話会では自然科学・社会科学を問わず交流を進めています。この為、対象地域は雲南・チベット地域を中心にタイ、ラオス、ミャンマー、カンボジア、ベトナム、インド、ブータン、ネパール、パキスタン、四川省、青海省、新疆ウイグル自治区、内モンゴル自治区、モンゴルなどに及びます。近年、シルクロードを西へ更に西へ、西域から中央アジアのキルギス、カザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタンに及んでいます。京都大学ヒマラヤ研究ユニット:
http://www.kyoto-bhutan.org/ja/news/139_2016-02-15.html を参照下さい。
「第38回雲南懇話会」開催のご案内 ―山旅、環境変動、黎明 / 夢・好奇心―
雲南懇話会代表幹事 前田栄三
「第38回雲南懇話会」を下記のとおり開催致しますので、ご案内します。
「雲南懇話会」は、中国雲南省の最高峰・梅里雪山(6,740m)を中心とする「雲南・チベット地域」及びその周辺地域の総合的な研究を進める事を目的に、2004年12月に発足、今年で12年目となります。
懇話会は、国内での「地域研究の集い」と現地での「Field Work」&「Study Tour」で構成されます。
2016年6月以降雲南懇話会主催は変わらず、京都大学ヒマラヤ研究ユニット&AACK共催となりました。
記
1.日 時; 2016年 9月04日(日)12時45分~17時30分。茶話会;17時30分~18時40分。
2.場 所; JICA市ヶ谷ビル(旧国際協力総合研修所)国際会議場。茶話会は国際会議場横の会議室で行います。
http://jica-ri.jica.go.jp/ja/about/access.html JR中央線・総武線「市ヶ谷駅」下車。
3.懇話会の内容<講師、演題、講演の順序など変更ある場合は、ご了承をお願い致します。>
① 「ネパール、ムスタンの旅」 ‐雲南懇話会第11回フィールドワークの記録、2016年4月‐
桐蔭会山岳部OB会、京都大学学士山岳会(AACK) 遠 藤 州
② 「インド・シッキム州、カンチェンジュンガ東面の山旅、2016年4月」 -困難な入域、
ゼム氷河、シニオルチューの麗姿のことなど- 雲南懇話会幹事、薔薇愛好家 頭師 正子
③ トピック「転換期にあるミャンマーの今、その素顔」-アウンサンスーチー女史への期待-
NPO法人“小水力発電をミャンマーの農村へ”理事、神戸大学名誉教授 大津 定美
④ 「ヒマラヤ地震博物館」 -ネパール・ヒマラヤの環境変動研究から考える-
カトマンドウ大学客員教授、滋賀県立大学名誉教授、北海道大学山の会(AACH) 伏見 碩二
⑤ 「中国の水資源・水環境をめぐって」-沿岸部と内陸部の対比から-
総合地球環境学研究所教授、AACK 窪田 順平
4.懇話会参加費用; 一人2,500円。 但し、学生・院生は無料。
茶話会参加費用; 一人1,500円。 学生・院生は500円。
5.参加申込; 前田栄三まで。
ご参考 ; 懇話会では自然科学・社会科学を問わず交流を進めています。この為、対象地域は雲南・チベット地域を中心にタイ、ラオス、ミャンマー、カンボジア、ベトナム、インド、ブータン、ネパール、パキスタン、四川省、青海省、新疆ウイグル自治区、内モンゴル自治区、モンゴルなどに及びます。近年、シルクロードを西へ更に西へ、西域から中央アジアのキルギス、カザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタンに及んでいます。京都大学ヒマラヤ研究ユニット:
http://www.kyoto-bhutan.org/ja/news/139_2016-02-15.html を参照下さい。
2)ネパール地質会議
トリブバン大学トリ・チャンドラ・キャンパス地質学科のタラ・バッタライ教授(*2)から11月27日~29日に開催される教授が主催者の第8回ネパール地質会議で「Earthquake Museum」の発表をすることを勧められた(下記メイルの黄色部分)ので参加し、「Himalayan Earthquake Museum」(*3)を発表することになりました。
(*2)お世話になった方々(追加)とヒマラヤ博物館構想の進展
http://hyougaosasoi.blogspot.jp/2016/06/normal-0-0-2-false-false-false-en-us-ja.html
(*3)Himalayan
Earthquake Museum
http://hyougaosasoi.blogspot.jp/
記
2016/08/16
Dear
Hiroji Sensei,
Well,
this is about 8th Nepal Geological
Congress to be held during 27-29 November this year. I think I talked about it
while you visited our Department at Tri-Chandra. Anyway, please find attached the 1st circular
and pre-registration form of the Congress. Please forgive me if I had sent it
to you before.
What’s about giving a presentation on
your ideas of establishing Earthquake Museum on the Geological Congress? Let me
know your ideas on it.
With
regards,
Tara
Prof.
Tara Nidhi Bhattarai, Ph. D.
Convener
8th Nepal
Geologcal Congress
Nepal
Geological Society
3)カトマンズ大学の講義
カトマンズ大学でお世話になっているリジャン・バクタ・カヤスタ助教授夫妻が名古屋に来られましたので、夕食をともにし(添付写真2)、大学などの近況をうかがい、来年の3月中旬~6月初旬のカトマンズ大学の講義(*4)、および8月18日の新聞に掲載された「Dharahara project」(*5)の中で「The new tower will have an underground museum」の記述があり、上記1)と2)の「ヒマラヤ地震博物館」に関係しますので、11月のネパール地質会議に参加した折、現地関係者と打ち合わせをすることを話し合いました。
カトマンズ大学でお世話になっているリジャン・バクタ・カヤスタ助教授夫妻が名古屋に来られましたので、夕食をともにし(添付写真2)、大学などの近況をうかがい、来年の3月中旬~6月初旬のカトマンズ大学の講義(*4)、および8月18日の新聞に掲載された「Dharahara project」(*5)の中で「The new tower will have an underground museum」の記述があり、上記1)と2)の「ヒマラヤ地震博物館」に関係しますので、11月のネパール地質会議に参加した折、現地関係者と打ち合わせをすることを話し合いました。
(添付写真2)食事するリジャン夫妻
<ちょっと一言>
添付写真2のように、夕食はウナギご飯で、付け合せのサンショの実とその粉末が小皿に守られていましたが、初めは夫妻とも付け合せには手をつけませんでした。夫妻にとっては、見たことがない盛りつけだったのかもしれません。サンショはネパールにもあることを知っていましたので、日本ではウナギご飯と一緒に食べることを伝えると、夫妻ともども、添付写真2の中央下部の小皿に盛られたサンショの実をほとんど平らげてしまいました。カレー(辛いー)の国出身ですから、香辛料がよほど好きなのです、ネ。さらに、ワサビも大好きだそうで、ヒマラヤでワサビを栽培したいと言っていました。
<ちょっと一言>
添付写真2のように、夕食はウナギご飯で、付け合せのサンショの実とその粉末が小皿に守られていましたが、初めは夫妻とも付け合せには手をつけませんでした。夫妻にとっては、見たことがない盛りつけだったのかもしれません。サンショはネパールにもあることを知っていましたので、日本ではウナギご飯と一緒に食べることを伝えると、夫妻ともども、添付写真2の中央下部の小皿に盛られたサンショの実をほとんど平らげてしまいました。カレー(辛いー)の国出身ですから、香辛料がよほど好きなのです、ネ。さらに、ワサビも大好きだそうで、ヒマラヤでワサビを栽培したいと言っていました。
(*4) KU Lecture
2015 - 2017
http://environmentalchangesofthenepalhimalaya.weebly.com/
(*5)Government
moves to hand over Dharahara project to NT
http://www.myrepublica.com/news/4077